質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一六号

生活保護受給者の指定施術機関での柔道整復施術についての事務連絡等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年一月二十七日

大久保 勉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   生活保護受給者の指定施術機関での柔道整復施術についての事務連絡等に関する質問主意書

 生活保護受給者が、生活保護の指定施術機関で打撲又は捻挫の手当て及び脱臼又は骨折の応急手当ての柔道整復施術を受けた場合の取扱い(以下、「生活保護者柔道整復取扱い」という。)については、医師の同意が不要である。
 この生活保護者柔道整復取扱いにおいては、特段の理由なく受診を制限した事例や正当な理由がなく施術の給付を認めず、受給者が不利益を被った事例(以下、「不利益事例」という。)が、長期にわたって多数存在していた。そのため、地方公共団体の担当者に対して、施術の取扱いについて再確認するように周知徹底すること及び生活保護受給者にもその取扱いを説明することの要請が、昭和三十六年九月三十日付社発第七二七号、昭和四十八年五月一日付社保第八七号、平成十三年十二月十三日付社援保第五八号、平成十三年十二月十三日付事務連絡及び平成十五年四月二十八日付事務連絡等(以下、「事務連絡等」という。)により、繰り返しなされている。
 しかしながら、事態はいっこうに改善されず、不利益事例がいまだ多数存在しているとの指摘もある。
 よって、以下の質問をする。

一 右記のように、不利益事例について同趣旨の事務連絡等が繰り返しなされたことにつき、政府はどのように考えているか、明らかにされたい。特に、事務連絡等が周知徹底されないため、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する国民に、長期にわたって不利益を与えたことについて、政府の考えを明らかにされたい。

二 不利益事例について、政府が柔道整復の指定施術機関に営業妨害をなし、長期にわたって経済的損害を与えたとの意見があるが、政府の考えを明らかにされたい。なお、経済的損害を与えたことを事実と考えるとすれば、(一)昭和三十六年九月三十日以降、(二)昭和四十八年五月一日以降、(三)平成十三年十二月十三日以降及び(四)平成十五年四月二十八日以降のそれぞれの概算累積損害額を示されたい。また、事実ではないと考えるとすれば、その理由をあわせて明らかにされたい。

三 不利益事例について、平成十五年四月二十八日以降、政府は調査を行ったことがあるか、明らかにされたい。なお、調査を行ったことがあれば、直近の調査についてその結果を明らかにされたい。また、調査を行っていないとすれば、その理由を明らかにするとともに、「調査を行っていないのは政府が最近の不利益事例を認識していない若しくは認識しているが重要ではないと考えているのではないか」と指摘されてもやむをえないと思われるが、この指摘についても政府の考えを明らかにされたい。

四 現在も不利益事例が頻発しているとすれば、どのような対策が必要であると政府は考えるか、問三の回答如何に関わらず、明らかにされたい。なお、「事務連絡等により、周知徹底を再度図ることが対策であると考えている」等の回答もあろう。しかし、そのような回答に対しては、「これまでの経緯にかんがみると、事務連絡等による周知徹底には実効性を期待できない」と指摘されてもやむをえないと思われる。事務連絡等が対策であると回答する場合には、この指摘に対する政府の反論を明らかにするとともに、これまで再三再四出されてきた事務連絡等が今回以降は実効性を発揮すると考える理由を明らかにされたい。

五 不利益事例について、医道審議会あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会で、どのような議論が行われてきたか、その概略を明らかにされたい。

  右質問する。