質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

新エネルギーの導入推進とリスク管理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年一月五日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   新エネルギーの導入推進とリスク管理に関する質問主意書

 二〇〇八年の急激な原油価格高騰は、日本経済や国民の生活に大きな影響をもたらした。我が国は石油依存度が高く、ひとたび市場での価格高騰や、産油国の政情不安、資源枯渇が発生すると、国民生活に多大な影響を与えることは、多くの国民が認識しているところである。それ故に、石油など化石燃料に代わる新エネルギー開発の推進は、必要不可欠である。
 他方、エネルギー開発にはリスクが伴う。このことは現在、政府が進めている新エネルギーについても例外ではない。かつて原子力発電は新エネルギーとして期待された時期もあるが、放射性物質の使用に伴うリスクに加え、相次ぐ事故、しかも東海村におけるJCOの事故のような人為的な要因による事故の発生に伴う災害リスクから中止を求める声が強いのも事実である。
 風力、太陽光、地熱、バイオマスといった新エネルギーは、原子力発電のような放射性物質に伴うリスクはないものの、風力発電における低周波公害、地熱発電における温泉への影響など、既にマイナス面も指摘されはじめている。ところが、新エネルギーに関しては「クリーンなエネルギー」であることが強調され、リスクが無視されているようにも見える。「クリーンさ」や「安全性」のみを強調するならば、もしリスクが顕在化した場合に、新エネルギーに対する国民の信頼喪失を引き起こすおそれがある。
 新しい技術には予期せぬリスクがつきものであり、新エネルギーも例外ではない。新エネルギー開発にあたっては、リスク管理を徹底した上での政策推進が求められる。そして、予期せぬリスクが発生した場合には、国民の被害を最小限にとどめ、被害に対する回復措置をとるという、適切な対処が不可欠である。
 よって以下質問する。

一 新エネルギー開発は、国民の福祉の増進のために行われる政策であるべきと考えるが、政府も同様に考えているのか確認したい。また、新エネルギー開発が国民の生活にマイナスの影響を与えることは避けるべきであると考えるが、これについても政府の原則を確認したい。なお、この質問には、イエス、ノーで簡潔に答えられたい。

二 新エネルギー開発にあたって、リスク管理の体制はどうなっているのか。指針のような文書がある場合は示されたい。また、そのような文書がない場合は、どのような対処を行っているのか示されたい。

三 リスクの存在とその管理については、特に新エネルギー関連施設の住民に十分説明すべきであり、とりわけ予期せぬリスク発生時の対処方法について事前に知らせることは、エネルギー行政の信頼向上に結びつくと考える。このような住民へのリスクを含めた十分な説明は行われているのか。

四 資源エネルギー庁のホームページには、新エネルギーの普及開発に関するパンフレット等が掲載されており、エネルギー問題や環境問題への対応としての新エネルギーへの国民の理解を求める努力がなされているものと考えるが、より一層の理解促進のために、リスク情報についても公開すべきと考える。政府として、リスクの可能性を国民に広く知らせる必要性があると考えているのか。また、そのようなリスクに関する情報公開につながる施策を準備しているのかを問う。

五 新エネルギーの技術については、政府においてもより積極的な技術開発に努めていると認識しているが、リスクの軽減や安全に結びつくような研究は行われているのか。行われている場合、それらの情報はどのように公開されているのかを具体的に示されたい。

六 新エネルギーを普及させるのは、政府ではなく電力会社など民間の事業者になるが、これら事業者へのリスクに対する指導はどのようになっているのか。また、新エネルギー開発を推進するために補助金が交付されているが、リスクが顕在化し、事業者がそれを放置した場合に補助金を打ち切る等の対応はルール化されているのか。

七 新エネルギーに関してもしリスクが発生した場合の、政府の対応窓口はどこになるのか、示されたい。

八 現在、新エネルギーに関していくつかの被害報告がなされているが、それらを踏まえた調査や情報収集はどの程度行っているのか。行っている場合、その結果は公開されているのか、若しくは公開される予定であるのかを問う。

  右質問する。