第170回国会(臨時会)
第百七十回国会答弁書第一五三号 内閣参質一七〇第一五三号 平成二十一年一月九日 内閣総理大臣 麻生 太郎
参議院議長 江田 五月 殿 参議院議員田中康夫君提出「森林ニューディール」政策の実施と「新三業革命」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員田中康夫君提出「森林ニューディール」政策の実施と「新三業革命」に関する質問に対する答弁書 一について 国土の保全、水源のかん養、地球温暖化の防止、林産物の供給といった多面的機能を有する森林の整備は、地域における雇用の創出に寄与するとともに、林業の振興のみならず、農業用水の確保や漁場の保全を通じて農業及び漁業にも裨益するなど国民全体に恩恵をもたらすものであり、このような観点を踏まえ、「緑の社会資本」としての森林を整備する事業を実施しているところである。さらに、建設企業の人材等を活用し、間伐を促進するための作業道の整備等を進めることとしているところである。 二の1について 間伐面積の目標については、平成十九年二月に開催した「美しい森林づくりのための関係閣僚による会合」において、「美しい森林づくり推進国民運動」の目標の一つとして、平成十九年度から平成二十四年度までの六年間で三百三十万ヘクタールの間伐を実施することとしているところである。 この目標は、従来毎年三十五万ヘクタール程度の水準にあった間伐面積を約一・六倍となる毎年五十五万ヘクタールの水準に引き上げるもので、現時点でこれを上回る目標に見直すことは考えていない。 二の2について 森林整備事業の経済波及効果、特に雇用創出効果については、事業費一億円あたりで雇用できる労働者数について、主な作業種ごとに、例えば、植林作業では約四千百人日、間伐を含む保育作業では約五千三百人日、林道開設では約千五百人日と推計している。このように雇用創出効果の高い森林整備事業については、毎年必要な予算を確保しているところである。 二の3について 森林整備事業の予算のうち植林、間伐等関係事業の経費については、平成二十年度当初予算で約千二百六十七億円である。これは、林野庁予算の三十三パーセント、森林整備事業予算の七十八パーセントを占めている。 二の4について 林野庁予算のうち約七割を占める林野一般公共事業を、治山事業、森林整備事業のうち林道関係事業、森林整備事業のうち植林、間伐等関係事業の三つに区分し、その経費についてのシェアを見ると、平成十六年度当初予算ではそれぞれ四十二パーセント、二十四パーセント、三十三パーセントであったものが、平成二十年度当初予算ではそれぞれ三十九パーセント、十三パーセント、四十七パーセントへと変化しており、現状において林野一般公共事業に占める谷止め工などの治山事業や林道建設の比率が極めて高いとは認識していない。 二の5について 林野一般公共事業においては、実施主体である地方公共団体等が行う林道等の整備に要する経費に対して、国が助成を行うとともに地方公共団体の負担に対して地方財政措置を講じているところである。また、地方公共団体が、その維持管理を行う場合の経費についても、地方財政措置を講じているところである。 二の6について 防護柵については、「防護柵の設置基準の改定について」(平成十六年三月三十一日国土交通省道路局長通知)において、車両の逸脱防止性能等の所要の性能を充足すれば、木製の防護柵も設置可能とされているところであり、道路管理者が景観形成の観点や経済性等も総合的に判断して、防護柵の材質、形状、色彩等を決定しているところである。 今後も、防護柵の設置に当たっては、道路管理者の総合的な判断により設置すべきものと考える。 なお、地方公共団体が木製の防護柵を設置する場合には、地方公共団体からの申請に応じて、国として地方公共団体に対し補助しているところである。 |