質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三〇号

内閣参質一七〇第一三〇号
  平成二十年十二月二十四日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員山口那津男君提出平成二十年十月七日衆議院予算委員会における内閣法制局長官答弁に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山口那津男君提出平成二十年十月七日衆議院予算委員会における内閣法制局長官答弁に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の内閣法制局長官の答弁は、仮に、宗教団体が国又は地方公共団体に独占されている統治的権力の一部を授けられてこれを行使した場合には、当該宗教団体が統治的権力を行使するということに当たり違憲となるという趣旨のものであり、憲法の定める政教分離の原則に関する従来の政府の見解を変更する趣旨のものではない。
 しかし、事実関係を仮定しての質問に対して法令を当てはめて答弁した御指摘の部分については、憲法第二十条第一項後段に関し、誤解を与え、従来の政府の見解を変更したとも受け取られかねないものとなっていることは御指摘のとおりであり、内閣法制局として、撤回させていただきたい。

二について

 憲法第二十条第一項後段の規定は、宗教団体が国又は地方公共団体から統治的権力の一部を授けられてこれを行使することを禁止している趣旨であって、特定の宗教団体が支援する政党に所属する者が公職に就任して国政を担当するに至ったとしても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的に別個の存在であり、宗教団体が「政治上の権力」を行使していることにはならないから、憲法第二十条第一項後段違反の問題は生じないと解してきているところである。

三について

 内閣法制局長官は、御指摘のとおり、憲法の定める政教分離の原則に関する従来の政府の見解を答弁しており、お尋ねの麻生内閣総理大臣の答弁は、この従来の政府の見解を述べた内閣法制局長官の答弁の内容が「基本的な考え方」である旨を述べたものである。