質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一二七号

内閣参質一七〇第一二七号
  平成二十年十二月十九日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員前川清成君提出高松塚古墳壁画損傷を再度隠蔽した事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出高松塚古墳壁画損傷を再度隠蔽した事件に関する質問に対する答弁書

一について

 本年十一月に発生した高松塚古墳壁画の損傷(以下「今回の損傷」という。)の原因については、壁面の科学分析を行った際に、分析機器の先端が何らかの理由で壁面に接触したためと考えられるが、これを完全に特定することは困難である。

二について

 高松塚古墳取合部天井の崩落止め工事及び石室西壁の損傷事故に関する調査委員会による平成十八年六月十九日付け報告書(以下「調査報告書」という。)においては、平成十四年一月に高松塚古墳石室内において発生した損傷事故について、石室西壁が損傷したこと自体に関しては特に重大な過失があったとは認められないとされたが、文化庁としては、壁画や石材の修理及び調査の際には、作業者以外に安全を確認する者を新たに配置するなど注意を払って作業を実施してきたところである。

三について

 文化庁としては、調査報告書において、情報公開と説明責任に対する感覚や認識の甘さが指摘されたことを踏まえ、平成十九年十月に文化財部に古墳壁画室を設置して、古墳壁画の保存及び活用に関する所管課を超えた連絡体制の強化を図るとともに、情報公開や説明責任に対する意識の涵養を図るための関係職員への指導、文化庁ホームページ等を通じた古墳の保存管理に関する情報の公開、国宝高松塚古墳壁画仮設修理施設内の修理作業室の一般公開等に努めてきたところである。

四について

 文部科学省及び文化庁としては、平成十四年一月に高松塚古墳石室内において発生した損傷事故及び損傷部分を含めた補彩措置について情報の公開や上司に対する報告・相談など適切な措置を講じなかったこと等について、平成十八年六月二十日付けで、関係職員一名について厳重注意を行うとともに、同日時点において国家公務員ではない事故当時の文化庁文化財部長外二名について、国家公務員であったとすれば、それぞれ減給処分相当、戒告処分相当、訓告相当の措置となる旨を本人及び本人の所属長に通知したところであり、事故当時の文化財部美術学芸課長は、これに応じて、所要の金額を国庫に返納した。

五について

 今回の損傷に関しては、文化庁として、該当部分が損傷であるか否かを含め、その内容や程度についての認識が不十分であり、本年十二月八日に損傷箇所を写真撮影して損傷の内容や程度を具体的に把握したところである。その間、今回の損傷に関する情報を内部で共有できなかったことについては、文化庁として反省しているが、事実関係を確認した後は速やかにこれを公表したところである。

六について

 今回の損傷に関しては、本年十二月十一日に文化庁次長が関係職員を口頭で注意した。文化庁としては、壁画や石材の修理及び調査については、細心の注意を払って実施するとともに、情報の迅速な共有をより一層徹底し、積極的な公開に努めてまいりたい。