質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一一六号

内閣参質一七〇第一一六号
  平成二十年十二月十二日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出歴史教科書とその検定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出歴史教科書とその検定に関する質問に対する答弁書

一について

 義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成十一年文部省告示第十五号)及び高等学校教科用図書検定基準(平成十一年文部省告示第九十六号)には、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていること」とされており、文部科学省としては、今後とも、これらの教科用図書検定基準等に従って、教科用図書検定調査審議会の調査審議に基づき、適切に教科用図書の検定が行われるべきものと考える。

二について

 御指摘の検定意見は、沖縄における集団自決について、最近の著書等で軍の命令の有無が明確ではないという内容の記述があること等を総合的に勘案して、教科用図書検定調査審議会の調査審議に基づき付されたものであり、御指摘の訴訟が提起されていることを直接の根拠とするものではない。
 なお、御指摘の判決は、私人間の係属中の訴訟に係るものであることから、文部科学省として当該判決の内容について見解を述べることは差し控えたい。

三について

 我が国の教科用図書検定制度は、申請された図書について、教科用図書検定調査審議会の審議に基づき、文部科学大臣が教科用図書として適切かどうかを決定するものとなっており、教科用図書検定基準等に沿ったものとなっている限り、教科用図書で具体的にどのような事象を取り上げ、それをどのように記述するかは、当該図書の著作者等の判断にゆだねられている。いずれにせよ、慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の内閣官房長官談話のとおりである。