質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八二号

内閣参質一七〇第八二号
  平成二十年十一月十四日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 河村 建夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員松野信夫君提出田母神俊雄前航空幕僚長の「日本は侵略国家であったのか」という題で発表された論文に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松野信夫君提出田母神俊雄前航空幕僚長の「日本は侵略国家であったのか」という題で発表された論文に関する質問に対する答弁書

一について

 先の大戦に関する政府の認識については、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりである。御指摘の論文(以下「当該論文」という。)には、このような政府の認識と明らかに異なる見解が述べられていると考えている。

二について

 防衛省としては、平成二十年十月三十一日に、懸賞論文の主催者が、受賞論文を公表したことにより、当該論文の存在を認識したところである。

三について

 当該論文については、「部外に対する意見の発表について」(昭和五十六年二月二十三日付け官広第八百十四号。以下「官房長通知」という。)に定める通報が田母神前航空幕僚長から適切になされなかった。

四について

 田母神前航空幕僚長以外の隊員による今般の懸賞論文への応募について、防衛省が調査を行ったところ、平成二十年十一月十二日現在、九十七名が応募し、そのうち九十四名については、官房長通知等に定める事前の上司への届出を行っていたことが確認されている。

五について

 防衛省において、過去二十年以内に、官房長通知に定める届出又は通報をすることなく部外に論文を寄稿したことを網羅的に把握することは困難であるが、届出又は通報をすることなく部外に論文を寄稿したとして懲戒処分を受けた隊員の事例については、現時点において確認されていない。

六について

 防衛省においては、政府の認識とは異なる見解を教えることを目的として、教育又は研修が行われたという事実は確認されていない。

七について

 防衛省として、田母神前航空幕僚長の防衛省内部における発言等をすべて把握しているわけではないが、同氏が当該論文と同様の見解を述べているものとしては、例えば、航空自衛隊幹部学校幹部会「鵬友」発行委員会が発行する刊行物「鵬友」平成十九年五月号があると承知している。

八について

 田母神前航空幕僚長が、退職後に賞金を受けるか否かについては、本人が判断すべき問題であると考えている。