質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七五号

内閣参質一七〇第七五号
  平成二十年十一月十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員糸数慶子君提出米軍軽飛行機墜落事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出米軍軽飛行機墜落事故に関する質問に対する答弁書

一について

 防衛省においては、現在、本年十月二十四日の沖縄県名護市における嘉手納飛行クラブ所属のセスナ機の事故(以下「本件事故」という。)について、「墜落」であったと認識している。
 また、防衛省としては、本件事故が発生したことは遺憾であると考えており、同日、防衛省地方協力局長から在日米軍司令官に対し、また、沖縄防衛局長から米軍第十八航空団司令官に対し、遺憾の意を表明するとともに、原因究明及び再発防止についてそれぞれ申し入れたところである。さらに、同月二十七日、防衛省から米側に対し、日本国当局による捜査への協力等についても要請したところである。

二について

 沖縄県警察によると、本件事故については、同県警察において本件事故に係るセスナ機の機体の検証、操縦士に対する事情聴取を行うなど所要の捜査を行っているとのことである。

三について

 お尋ねの点については、捜査の具体的内容にかかわる事柄であることから、答弁を差し控えたい。

四について

 米側は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)についての合意された議事録の第十七条10(a)及び(b)に関する規定2において、日本国の当局は、通常、合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行う権利を行使しないこととされていることを踏まえ、機体については合衆国軍隊の財産であるとして回収したものと承知している。
 また、本件事故に関連し、日本国の当局との間で取極は行われていないものと承知している。

五について

 政府としては、日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、運用の改善に努力しているところである。
 なお、現在、沖縄県警察において、米側の協力を得つつ、捜査を行っているところであると承知しており、日米地位協定が捜査の障害となっているとは考えていない。

六について

 お尋ねの「事故調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現在、沖縄県警察において、米側の協力を得つつ、捜査を行っているところであると承知している。なお、運輸安全委員会による調査については、昭和二十七年六月の航空交通管制に関する日米合同委員会合意により、日本国政府が航空機事故調査の責任を負う航空機、施設又は人員を含まない航空機の事故については、日本国政府は責任を負わないとされている。

七について

 本件事故に関する被害に対する補償について現時点で確たることをお答えすることは困難であるが、公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権については、日米地位協定第十八条5の規定に基づき、関係国内法令に従って適切に処理され、また、日本国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行われたものでないものから生ずる合衆国軍隊の構成員又は被用者に対する請求権については、加害者本人が責任を負うべきものであり、当事者間において解決されることが原則であるものの、かかる方法で解決されない場合には、日米地位協定第十八条6の規定に基づき、適切に処理されることとなる。