質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六六号

内閣参質一七〇第六六号
  平成二十年十月三十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出合併特例債と地方の財政危機に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出合併特例債と地方の財政危機に関する質問に対する答弁書

一について

 市町村の合併の特例に関する法律(昭和四十年法律第六号)第十一条の二第二項に規定する地方債(以下「合併特例事業債」という。)の年次別の発行件数及び総額について、総務省としては、平成十一年度は五件で約六億千七百万円、平成十二年度は八件で約四十九億七千三百万円、平成十三年度は三十九件で約百五十五億五千三百万円、平成十四年度は七十一件で約二百三十一億六千三百万円、平成十五年度は二百十三件で約五百二十四億二千万円、平成十六年度は五百六十七件で約千百五十億三千三百万円、平成十七年度は二千五百十九件で約四千三百三十五億六千二百万円、平成十八年度は四千七百二十四件で約六千六百三億九千八百万円、平成十九年度は五千百一件で約六千五百十七億円と承知している。
 また、合併特例事業債の元利償還費に応じて地方交付税の基準財政需要額に算入する額については、平成十二年度は約六百万円、平成十三年度は約六千万円、平成十四年度は約四億五千七百万円、平成十五年度は約八億千七百万円、平成十六年度は約二十五億二千八百万円、平成十七年度は約六十二億百万円、平成十八年度は約百五十億四千二百万円、平成十九年度は約三百四十八億三千四百万円、平成二十年度は約六百二十八億千三百万円であるが、将来の地方交付税の基準財政需要額に算入する額については、今後の合併特例事業債の発行額が不明であるため、お答えすることができない。

二について

 合併特例事業債について、総務大臣及び都道府県知事は、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の三第四項の規定による、同条第一項に規定する協議における同意等に当たり、当該合併市町村から提出を受けた事業計画等により、市町村の合併の特例に関する法律第十一条の二第一項に規定する「当該市町村の合併に伴い特に必要と認められるもの」に該当するかどうかについて確認を行っている。
 御指摘の「民間と競合する公的施設の改革について」(平成十二年五月二十六日閣議決定)については、同閣議決定を踏まえ、同旨の自治事務次官通知「民間と競合する公的施設の改革について」が平成十二年六月九日付けで発出されている。また、同閣議決定を踏まえ、平成二十年度地方債同意等基準(平成二十年四月三十日総務省告示第二百六十四号)は「政府の方針において、地方公共団体においても国に準じて施設の新設及び増築の禁止等について措置するよう要請している場合等において、地方債を財源として実施しようとする事業等が、当該国の抑制措置の趣旨に抵触するようなものではないこと。」と定めており、総務大臣及び都道府県知事は、地方財政法第五条の三第四項の規定による、同条第一項に規定する協議における同意等に当たり、民間施設と競合しないことの確認を行っている。
 お尋ねの愛西市のセレモニーホールについても、愛知県知事及び総務大臣において、民間施設と競合しない理由書の提出を受けて、この確認を行っている。

三について

 合併特例事業債については、合併市町村において、その財政見通し等を踏まえつつ、適切な活用がなされるべきものである。
 なお、地方財政法に基づく地方債協議制度は、各地方公共団体の財政の早期是正等の観点から、実質公債費比率が十八パーセント以上の団体等は、地方債の発行に総務大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならないこととしているところである。

四について

 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十三条の規定においては、各地方公共団体の会計管理者は、毎会計年度、決算を調製し、出納の閉鎖後三箇月以内に地方公共団体の長に提出し、地方公共団体の長は、監査委員の審査に付した上で、次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならないものとされている。
 また、総務省は、毎年度、御指摘の「決算カード」のほか、都道府県決算状況調、市町村別決算状況調等を地方公共団体の前年度の決算に基づき作成し、それらを年度末までに公表している。また、地方公共団体は、決算の状況、各種財政指標等を議会を始め住民に公表しているものと承知している。これらの取組は、地方公共団体の財政状況を広く国民が直接理解することに資するものと考えている。
 地方公共団体の財政状況については、地方自治法第二百四十三条の三第一項の規定により、地方公共団体の長は、毎年二回以上歳入歳出予算の執行状況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高その他財政に関する事項を住民に公表しなければならないこととされている。また、同法第二百四十二条の規定により、地方公共団体の住民は、当該団体の執行機関又は職員の違法又は不当な公金の支出等について、監査委員に対し、当該行為の防止又は是正の請求ができることとされている。総務省としては、これらの制度が、今後とも有効に活用されることが重要であると考えている。