質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三八号

内閣参質一七〇第三八号
  平成二十年十月十日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員紙智子君提出悪質なリース訪問販売の被害者保護の拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出悪質なリース訪問販売の被害者保護の拡充に関する質問に対する答弁書

一の1から4までについて

 独立行政法人国民生活センターにおける電話機類リースに関する苦情相談件数は、二〇〇五年度が八千六百九十六件、二〇〇六年度が五千四百九十七件、二〇〇七年度が三千八百四件である。また、経済産業省消費者相談室に寄せられた電話機類リースに関する苦情相談件数は、二〇〇五年度が千三百八十一件、二〇〇六年度が千二百九十三件、二〇〇七年度が五百六十八件である。
 リースサービスに関する被害相談件数に関しては、独立行政法人国民生活センターが把握しているリースサービスに関する苦情相談件数は、二〇〇〇年度が三千九百九十七件、二〇〇一年度が五千六十五件、二〇〇二年度が六千七百四十四件、二〇〇三年度が七千七百六十件、二〇〇四年度が九千二百三十八件、二〇〇五年度が一万七百五十二件、二〇〇六年度が七千八百三十三件、二〇〇七年度が六千三百七件である。また、二〇〇〇年度以降で経済産業省に設置した相談窓口に寄せられたリースサービスに関する苦情相談件数のうち、現時点で把握しているものは、二〇〇五年度が三千四百十二件、二〇〇六年度が三千三百七件、二〇〇七年度が千九百六十八件である。
 コンピューターソフト又はホームページ作成・更新の役務提供を付加したリースサービスに関する苦情相談件数に関しては、独立行政法人国民生活センターが把握しているコンピューターソフトの役務提供を付加したリースサービスに関する苦情相談件数は、二〇〇〇年度が二十一件、二〇〇一年度が二十七件、二〇〇二年度が四十六件、二〇〇三年度が五十三件、二〇〇四年度が七十六件、二〇〇五年度が百一件、二〇〇六年度が百六十二件、二〇〇七年度が百八十八件である。また、経済産業省消費者相談室に寄せられたホームページリースに関する苦情相談件数のうち、現時点で把握しているものは、二〇〇五年度が六件、二〇〇六年度が十件、二〇〇七年度が三十件である。

一の5について

 悪質な電話機等リース訪問販売については、平成十七年十二月六日に特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)の通達改正や業界団体への指導を実施するとともに、経済産業本省、各経済産業局等において相談窓口体制の整備を行い、また、注意喚起及び相談窓口の周知のためのチラシ約百万部を全国各地で配布したところである。しかしながら、こうした取組にもかかわらず、相談窓口の存在を知らなかった等の理由から、相談窓口や消費生活センターに対して苦情を申し立てていない被害者が相当程度存在し得るものと認識している。

二の1について

 社団法人リース事業協会から経済産業省に対して「電話機等リース訪問販売等に係る総点検等について(ご報告)」と題する書面が提出された日は、平成十八年二月九日である。情報通信ネットワーク産業協会及び社団法人日本訪問販売協会からは、経済産業省に対する書面の提出は行われていないが、会員企業への周知、団体の相談窓口における対応及びセミナー等を通じた情報提供を実施した旨の報告を受けている。

二の2について

 御質問の企業名については、社団法人リース事業協会から公にしないとの条件で任意に提供されたものであり、これが公になることにより、当該リース会社による取引停止等の判断を制約するおそれ等があることから、お答えを差し控えたい。

二の3について

 リース会社と個人事業主との間の電話機類リースに係る契約については、一見事業者名で契約を行っている場合であっても、主として個人用・家庭用に使用するためのものである場合には特定商取引に関する法律の適用があり、クーリング・オフや不実告知に基づく取消しによる民事救済の対象になり得るものと解しているが、その他の場合についても、リース会社に詐欺や不法行為があった場合などは民法の一般原則に基づく救済も可能であるものと承知している。リース会社の総点検の結果当該会社が取引を停止した提携販売業者が勧誘したリース契約がすべからく無効となり、支払債務が消滅するとは限らないが、そのこと自体が不合理であるとまでは言えないと認識している。
 一の1から4までについてで述べたとおり、電話機類リースに関する苦情相談件数は平成十七年度から平成十九年度にかけて減少しており、平成十七年十二月六日付けの経済産業省からの指導文書に基づき社団法人リース事業協会の会員各社に対する指導により実施された総点検等の取組は、電話機類リースに係る被害の拡大防止に寄与したものと理解している。

二の4について

 一の1から4までについてで述べたとおり、電話機類リースに関する苦情相談件数は平成十七年度から平成十九年度にかけて減少しているものと認識している。他方、平成十九年度に経済産業省消費者相談室に寄せられた苦情相談を分析したところ、ホームページリース等の、電話機類以外のリースに関する苦情相談件数が増加傾向にあると認識したことから、本年七月十一日に社団法人リース事業協会に対して、平成十七年十二月六日付けの指導文書に基づく取組のフォローアップを要請した。これを受けて、社団法人リース事業協会は本年九月二十四日に電話機以外の商品のリースに関する被害の防止に向けた「小口提携リース取引に係る問題事例と対応について」と題する対応策をとりまとめ、同月二十六日に同協会ホームページ上で公開したものと承知している。

二の5について

 経済産業省が平成十八年七月に行った株式会社メディアサポートに対する業務停止命令以降、電話機以外の商品を含めて、リース販売業者に対して特定商取引に関する法律上の行政処分を行った事例はない。

二の6について

 リース会社と個人事業主との間の電話機類リースに係る契約については、一見事業者名で契約を行っている場合であっても、主として個人用・家庭用に使用するためのものである場合には特定商取引に関する法律の適用があり、クーリング・オフや不実告知に基づく取消しによる民事救済の対象になり得るものと解している。
 一の1から4までについてで述べたとおり、電話機類リースに関する苦情相談件数は平成十七年度から平成十九年度にかけて減少しており、特定商取引に関する法律に基づく行政処分や、平成十七年十二月六日付けの経済産業省からの指導文書に基づき社団法人リース事業協会の会員各社に対する指導により実施された総点検等の取組は、電話機類リースに係る被害の拡大防止に寄与したものと理解している。

二の7について

 一の1から4までについてで述べたとおり、電話機類リースに関する苦情相談件数は平成十七年度から平成十九年度にかけて減少しているものと認識している。他方、平成十九年度に経済産業省消費者相談室に寄せられた苦情相談を分析したところ、ホームページリース等の、電話機類以外のリースに関する苦情相談件数が増加傾向にあると認識したことから、本年七月十一日に社団法人リース事業協会に対して、平成十七年十二月六日付けの指導文書に基づく取組のフォローアップを要請した。これを受けて、社団法人リース事業協会は本年九月二十四日に電話機以外の商品のリースに関する被害の防止に向けた「小口提携リース取引に係る問題事例と対応について」と題する対応策をとりまとめ、同月二十六日に同協会ホームページ上で公開したものと承知している。

三の1について

 御指摘のような対応があったかどうかの事実関係については確認できていない。なお、経済産業省においては、電話機等リースの訪問販売に係る事業に関する相談を受けた場合には、契約者が個人事業者であったとしても契約内容が個人用又は家庭用に使用するためのものである場合には特定商取引に関する法律の適用を受けること、また、リース事業に対して事前規制を行っている法令は存在しないという旨の回答をしているものの、消費者救済の観点から、その他の法令の適用が可能であれば、当該法令の関係機関を紹介しているところである。

三の2について

 消費生活センターにおける苦情相談については、それぞれの事案の具体的事実に応じ、関係法令等に沿って、適切に対応されるべきものと考える。
 また、特定商取引に関する法律においては、平成十七年十二月六日に実施した通達改正においてその旨を明確化したとおり、訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売の場合における契約者の属性が事業者である場合を一律に同法の適用除外としているわけではなく、契約者の属性が事業者である場合であっても、契約の目的・内容が営業のためのものである場合を除き同法の適用対象としている。

三の3について

 特定商取引に関する法律は、事業者と一般消費者との間の取引の公正を確保することにより、一般消費者の利益を保護することを目的としており、事業者間の営業目的の取引の公正を確保することを目的とするものではない。平成十七年十二月六日に実施した通達改正も、同旨の観点にのっとり行ったものであり、契約者が事業者名で契約を行っている場合であっても、契約の目的・内容が個人用・家庭用に使用するためのものとなっている場合には、実態としては当該事業者は一般消費者に該当するものと解釈し、本法の適用対象であることを明確化している。一方、小規模事業者とその他の事業者との間の取引において、事業者間の営業目的の取引の公正を確保する観点から小規模事業者に対して何らかの法的な保護を図るか否かについては、小規模事業者を取り巻く取引実態を把握した上で、それらの取引にどのような影響を及ぼすかも含め、慎重に検討していく必要があるものと考える。