質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五二号

高齢者の医療費負担無料化等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月二十四日

田中 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   高齢者の医療費負担無料化等に関する質問主意書

 国際連合の定義に拠れば、六十五歳以上の老年人口比率が七%を超えると高齢化社会、十五%を超えると高齢社会、更に二十一%を超えた場合には超高齢社会と呼ばれる。
 我が国に於いては、日本万国博覧会が大阪で開催された一九七〇年に早くも七%を超えており、本年二〇〇八年には二十二%に達している。即ち、世界でも有数の「超高齢社会」である。
 他方で現在、我が国の経済情勢は未曾有とも呼ぶべき悪化の一途を辿っており、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、個人消費も急速に弱まっている。こうした状況下に於いて、景気対策とそれに続く経済成長に向けての取り組みこそは喫緊の課題である。別けても、超少子・超高齢社会ニッポンに於いては、介護、医療、福祉、教育、環境等の産業分野が景気回復の牽引役を担うことが、安心・安全の観点からも極めて肝要と考える。
 麻生太郎内閣総理大臣は、平成二十年九月二十九日の所信表明演説で、日本経済の立て直し、介護、医療、福祉といった暮らしの安心、環境問題についても言及している。しかしながら、各分野の施策を如何に連携させ、経済の立て直しや着実な成長へと繋げていくのか、就任から三か月が経過した現在に至るも未だ、明らかになっていないと憂慮する。
 新党日本代表である私、田中康夫は従前から、政治や行政の無駄を排し、人が人のお世話をして初めて成り立つ、新しい二十一世紀型の雇用を生む福祉・医療・教育・環境の分野へと予算を傾注投資すべきとの哲学と信念を抱き、未曾有に悪化した県財政を再建すべく登板した信州・長野県知事在任中から、こうした分野の充実を具体的に行い、延いては地域の雇用と再興を齎した。
 翻って、現下のニッポンを眺むるに、無為無策な政治と行政への哀しみと憤りに留まらず、国民の間に漂う将来に対する言い知れぬ不安こそが、消費低迷の最大要因である。とするならば、斯くなる不安の解消を図ってこそ、内需拡大も実現し得る。就中(なかんずく)、高齢な方々に対する日々の生活の安心実現は、全ての世代の安心へと繋がる。
 日本国民の個人金融資産は千四百兆円余りにも上ると言われる。しかしながら、こうした貯蓄が消費へと回らない昨今の傾向こそが景気低迷の原因でもある。消費すなわち投資であり、内需拡大、雇用拡大を実現する為には、将来に備えて貯蓄に偏り勝ちな国民一人ひとりが明るい希望を抱ける施策の可及的速やかなる実行が不可欠である。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 国会に提出された予算資料によれば、七十五歳以上の高齢者にかかる医療費は平成二十年予算ベースで約十一・九兆円である。一方、七十五歳以上の高齢者が負担する医療費は、後期高齢者医療保険料として約〇・九兆円を負担し、個々の医療費支払い分として約一兆一千億円を自己負担すると見込まれており、その合計は約二兆円である。内需主導による経済活性化の一方策として、高齢者の保険料及び窓口負担の無料化を実施し、その可処分所得を増大させて消費の拡大を図ることを検討すべきであると考える。政府の見解を示されたい。

二 政府は、定額給付金制度を実施するため、二兆円の財源を確保したと報道されている。しかしながら、この施策は国民からは著しく不評であり、再考を要すると考える。この二兆円を七十五歳以上の老人医療費無料化の次年度に於ける財源とすべきと考えるが政府の見解を示されたい。

三 高齢者が将来への不安を背景に、いわば資産・財産を囲い込み、結局のところ運用・投資・消費に回らないまま相続に至り、更にはその結果、家族間の資産相続紛争の原因になるなど、資産が生かされないことが少なくない。資産・財産の有効活用を促し、経済活性化に寄与する税制として、相続税・贈与税の見直しも重要な課題である。特に生前贈与の無税化が有効であると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 生前相続人が無い為、国庫に帰属されてしまう資産はどのくらいあるのか。不動産及び銀行預金についてそれぞれ具体的に示されたい。加えて、その銀行口座等の存在を相続人たる家族等が把握し得ぬ儘、これら逸失利益が金融機関の収入と化している金額についても、具体的に示されたい。

  右質問する。