質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四七号

医薬品の販売体制に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月二十二日

又市 征治   


       参議院議長 江田 五月 殿



   医薬品の販売体制に関する再質問主意書

 先般私は医薬品の販売体制に関して政府に対し質問したところ、平成二〇年一二月五日付け答弁書(内閣参質一七〇第一〇二号)を受領したが、平成二〇年一月三一日付け厚生労働省医薬食品局長通知にある「一定水準の講習等」の実施について大きな認識の違いがあることから、以下再質問する。

一 「二の1について」の答弁について

1 答弁書では、「御指摘の講習、研修の内容については、現在、検討している」とあるが、前記の局長通知における「一定水準の講習等」の実施について未だ詳細が示されず、改正薬事法の施行期日まで半年を切ってしまった。関係機関や業者への周知期間を考え、早急に工程を示し公布されたいが、どのような日程を想定しているのか。
2 答弁書では、「既存配置販売業者は、医薬品の販売業の許可を受けており、その業務についての責任及び知識経験を有しているものと考えられることを踏まえると、既存配置販売業者がその配置員に対して、講習、研修等を行うことが適当であると考えている」とある。
 改正薬事法が施行されるに当たり、既存配置販売業者における「その業務についての責任」は、改正法においてどの程度に解釈されるのか。
 また「その業務についての知識経験」とは、登録販売者と比較してどの程度のものか。たとえば、第二類医薬品及び第三類医薬品を販売等すること及び情報提供することができるよう、知識経験のない新規雇用の配置員(既存配置販売業者の配置員)に対して、講習、研修等の教育を行うことができる程度か。
 もしそうであれば、全ての既存配置販売業者は、新法第三六条の四第一項に規定する試験に合格した者とみなされるべきではないか。
3 本来、既存配置販売業者が十分な知識経験を有するのであれば、改正薬事法において、既存薬種商と同様に「登録販売者」とみなされた筈である。しかし知的資質の確認が必要ということで、登録販売者試験が課せられた。その理由は、平成一六年五月より平成一七年一二月まで二三回にわたった医薬品販売制度検討部会、平成一八年国会での薬事法の改正議論、およびその後再び公開の場(医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会)での経過から明らかだと思うがいかがか。
4 既存配置販売業者については、新法第三一条の二第二項、第三六条の五第二号及び第三六条の六第五項の規定により、既存配置販売業者に雇用される配置員(以下単に「配置員」という。)が第二類医薬品及び第三類医薬品を販売等すること及び情報提供することができることとすることに伴い、必要な技術的読替を規定しており、その業務についての責任及び知識経験を有しているものと考えられる既存配置販売業者だけではなく、既存配置販売業者による講習、研修等を受けた配置員も、「区域管理者」になれることになる。
 配置員が改正薬事法に規定する区域管理者としての業務を行えるほど、「その業務についての責任及び知識経験」を有するならば、区域管理者となる配置員もまた、新法第三六条の四第一項に規定する試験に合格した者とみなされるべきではないか。
5 配置員となっただけで、第二類医薬品及び第三類医薬品を販売等すること及び情報提供することができるのであれば、簡単な手続きで配置員となり、専ら販売テクニックの習得に終始し、必要とされる講習、研修等が不十分になることを否定できない。
 改めて問うが、消費者にとって必要な情報を提供させるための客観性、透明性を持たせた講習を全ての既存配置販売業者及びその配置員に確実に受けさせることが重要ではないか。政府の再考を求めるがいかがか。

二 「二の2について」の答弁について

1 答弁書では、「既存配置販売業者は、配置員との関係いかんにかかわらず、改正法附則第十二条の趣旨を踏まえ、適正に講習、研修等を行うべきものであることは当然のことであり、御指摘のような規定を追加する必要はないものと考えている」とある。ならば、実施される講習、研修等の内容が適切であることをどのように担保するのか。
2 たとえば、販売対象物の製造業者などが講習、研修等の講師等となることは利害関係によって歪められるおそれがあり、好ましくない。このため、既往の類似分野として、医療機器販売業における講習については、「責任技術者講習等を受ける者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないこと」が定められている(薬事法施行規則第九一条第三項第三号に規定する講習等を行う者の登録に関する省令第二条第一項第五号)。
 これを配置薬業界が模範にし、本件講習等についても、「講習等の実施者は、講習等の対象者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないこと」との規定の追加を考えることが好ましいと考えるので、再考されたい。再考できない場合は、その理由を明解に説明願いたい。

三 「二の3について」の答弁について

1 答弁書には、「既存配置販売業者については、医薬品の販売業の許可を受けており、その業務についての責任及び知識経験を有しているものと考えられることから、必ずしも講習、研修等を受講する必要はないものと考えている」とある。
 既存配置販売業者について、講習、研修等を受講する必要はない、すなわち学ぶ必要のないほどその業務についての責任及び知識経験を有しているものであるなら、全ての既存配置販売業者について、新法第三六条の四第一項に規定する試験に合格した者とみなされるべきではないか。
2 改正法附則第一一条では、引き続き配置販売業務を行う既存配置販売業者については、購入者への情報提供・相談対応に関して施行時点から適用するとされ、また改正法附則第一二条では、既存配置販売業者に対し、その配置員の資質向上の努力義務が課されている。
 ところで実態として既存配置販売業者の多くは、自身が配置員として配置販売に従事する。
 よって、既存配置販売業者であっても自身が配置員として配置販売に従事する場合、資質向上に努めなければならないのではないか。政府の見解を示されたい。
 また、たとえ既存配置販売業者自身が配置員として配置販売に従事しない場合でも、医薬品の配置販売業を営むからには既存配置販売業者自身の資質向上についても努力義務を課すべきではないか。
3 薬剤師や登録販売者等であっても研修、講習等を受けなければ、知識は陳腐化する。繰り返すが、既存配置販売業者の多くは、自分自身が配置員として配置販売に従事する。
 よって、既存配置販売業者に対しても客観性、透明性を確保した講習を受講させることが不可欠と考えるが、政府の見解を示されたい。

四 「二の4について」の答弁について

 答弁書には、「既存配置販売業者が、その責任において、既存配置販売業者以外の者により実施される講習、研修等の内容が適切であることを確認した上で、当該講習、研修等をその配置員に受講させることは差し支えないと考えている」とある。
 既存配置販売業者が、「以外の者」により実施される講習、研修の内容が適切であるかどうかを確認する場合、その判断基準はいかなるものが適切であると政府は考えるか。

  右質問する。