質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四二号

賃貸住宅の家賃保証業者の活動に係る現状把握と規制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月十八日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   賃貸住宅の家賃保証業者の活動に係る現状把握と規制に関する質問主意書

 昨今、低所得者層の増大、賃貸住宅の供給過剰に伴い、敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」等、入居の敷居が低い格安物件が出回っている。こうした物件の入居者の多くはパートやフリーター、派遣労働者ら非正規労働者となっている。
 不動産仲介会社を介して、家主・管理会社と賃貸借契約を結ぶ際、家族や勤務先を連帯保証人とするのが一般的であるが、最近は連帯保証人を見つけられない借り主らが、家賃保証会社との間で保証委託契約を結ぶケースが増えている。また、借り主が親族を連帯保証人としようとしても保証会社との契約が入居条件となっているケースもあると聞く。
 一方、新聞記事などによると保証会社の中には、家賃を滞納した借り主に対し、①法外な違約金を請求する、②玄関ドアの鍵を交換する、③家財道具を撤去するなどして、法的手続きをとらずに強制的に退去させる「追い出し」をしている業者もあり、今年には保証業者から借家を閉め出された入居者らが福岡、大阪で裁判を起こし、大阪では刑事告訴するケースも出てきている。これらを踏まえて以下質問する。

一 保証会社は九十年代から出現しはじめ、二千年代に入って急増しており、現在百以上の業者があるとされているが、政府は正確な業者数を把握しているのか。また、把握してない場合は今後把握する計画はあるのか。政府の見解を示されたい。

二 なお、家賃保証業務については、財団法人「日本賃貸住宅管理協会」内の一組織として、約四十事業者が加盟する賃貸保証制度協議会があるが、監督官庁も明確でなく、また、宅地建物取引業法、借地借家法の対象ともなっておらず、追い出し行為を規制する直接のガイドラインさえもないのが現状である。政府はなんらかのガイドラインを作るべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 また、閣議決定された消費者安全法案では、法律が対応できないケースが出てきた場合には、総理大臣が事業者に直接勧告を出すことができるように設計されているが、この場合だと被害が出てから対応することになり、未然に防ぐということにならない可能性があるのではないか。政府の見解を示されたい。

四 この深まる不景気の中で「派遣社員や期間工の削減」などにより仕事と収入を失い、家賃を滞納する借り主が増えると見られている。このような状況に政府は迅速かつ着実に対応すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。