質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三九号

北朝鮮脱北者の定住支援に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月十八日

水戸 将史   


       参議院議長 江田 五月 殿



   北朝鮮脱北者の定住支援に関する質問主意書

 「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(いわゆる「北朝鮮人権法」)の第六条で脱北者の保護支援について規定している。そのためには日本に住む脱北者の生活実態を把握、調査する必要がある。そこで以下質問する。

一 本年六月四日の参議院「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」で、私は「日本に脱北者がどの程度入ってきて定住されているのか、調べて資料等をいただきたい」旨質問し、町村信孝官房長官(当時)からは「かなりの高い率で日本に来られた方はそのまま日本におられるんじゃないかと、こう理解をいたしております」「調べるように努力いたします」との答弁がなされた。しかし、今日に至るまで資料は提出されていない。現時点で日本に住んでおられる脱北者の数、居住年数ごとの人数、年齢階層ごとの人数を明らかにされたい。

二 脱北者の生活実態を把握しなければ北朝鮮人権法第六条の的確な保護支援策は実行できない。日本に住む脱北者のうち、生活保護を受けている人、日本国籍を取得した人の数はそれぞれいくらか、明らかにされたい。

三 北朝鮮を脱北して日本に入国し、その後、再び北朝鮮に戻った人はNGOの調査では二人といわれている。政府はこれを把握しているのか、明らかにされたい。

四 脱北者の定着というのは単に一定の年月同じ地域に住んでいるというのでなく、職に就き、経済的に自立して初めて定住、定着といえると考えるが、政府の認識はどうか。脱北者の定着についての考え方を明らかにされたい。

五 定着のための必要不可欠な支援が日本語教育である。政府自らの取り組みとして、脱北者への日本語教育支援として具体的に何をしているのか、明らかにされたい。脱北者に対してNGO団体や民間ボランティアによる日本語教育のサポートが行われているが、財政的に厳しい状態にあるのが実情である。北朝鮮人権法第六条に基づいて政府はNGO団体や民間ボランティアに対してどのような財政上の支援を行っているのか、具体的に明らかにされたい。また、今後、財政支援を拡充する考えはあるのか、併せて明らかにされたい。

六 政府はこれまで、脱北者に対する定住支援として前項以外に具体的にどのような施策を講じてきたのか、年度ごとに施策とその予算額を明らかにされたい。

七 難民条約上の条約難民に対してRHQ支援センターで日本語教育など定住のための支援を行っている。脱北者への定住支援を促進するため、こうしたセンターも活用して日本語教育、日本文化、社会の仕組み、技能訓練など総合的な施策を実施するとともに併せて就職のサポートをすべきと考えるが、見解を明らかにされたい。

  右質問する。