質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三六号

航空自衛隊のイラク派遣に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月十八日

喜納 昌吉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   航空自衛隊のイラク派遣に関する質問主意書

 本年十二月十二日、航空自衛隊がイラクでの活動を終え、五年間に及んだ自衛隊のイラク派遣が終了した。しかし、この五年間に及ぶ自衛隊派遣の実態は経緯も含め不透明な点が多い。また、この活動が名古屋高裁から「違憲」とされたように、今後の自衛隊の海外活動に関しては、憲法解釈を含めて議論するべき点が多々あると考える。よって以下質問する。

一 この五年間のイラクでの航空自衛隊の活動にかかった総支出額を内訳とともに明らかにされたい。

二 その総支出額のうち、特に燃料費はいくらになるか。また燃料をどのように調達していたのか明らかにされたい。

三 イラク復興支援特別措置法では、派遣地域を「非戦闘地域」と定めている。しかし、バクダット空港は米軍が厳重に警備し、空自の輸送機は、地対空ミサイルの発射煙がないか、警戒しながら離着陸を行い、ある空自幹部は「これが戦場かと体感した」と述べている。このことからも自衛隊が派遣された地域は「非戦闘地域」という論理は成り立たない。政府の見解を問う。

四 本年四月、名古屋高裁はバクダットを「戦闘地域」と断定したが、政府はこの判決をどう受け止めているか。見解を明らかにされたい。

五 イラク復興支援特別措置法では、武器・弾薬の輸送は、防衛大臣が定める実施要項で禁止されている。しかし、航空自衛隊の空輸対象には、武装した米兵も含まれていた。武器・弾薬を保持した米兵を輸送することは、禁止事項に該当するのではないか。武装した米兵を空輸対象とした理由とともに、禁止事項への該否について見解を問う。

六 名古屋高裁判決では、武装した米兵の空輸は、武力行使と一体化しており「違憲」と判断されたが、政府はこの判決をどう受け止めているか。見解を明らかにされたい。

七 米兵を輸送した空自機は、米軍から見下されているかのように「タクシー」と呼ばれ、「米軍にいいように使われ、コマにすぎなかった」と指摘されている。空自の輸送活動は、政府が誇らしげに主張する「国際貢献」に値する活動だったのかどうか、見解を問う。

八 ブッシュ米大統領は、イラク開戦の根拠とした大量破壊兵器が見つからなかったことを認め「最大の痛恨事」と言及した。政府は、この米大統領発言を受けて、イラク開戦を支持したことについて、反省する気持ちを有権者国民に表明すべきではないか。これについての見解を政府がイラク開戦を支持した理由とともに明らかにされたい。

  右質問する。