質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二九号

介護保険制度に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月十五日

大河原 雅子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   介護保険制度に関する再質問主意書

 二〇〇九年度の介護報酬改定、要介護(要支援)認定の見直しに向けて、社会保障審議会介護給付費分科会(以下「分科会」という。)及び厚生労働省事務局において準備が進められているが、被保険者に大きな影響を与えることが予測されることから、前回政府答弁書(内閣参質一七〇第九一号)を踏まえ、再度以下のとおり質問する。

一 要支援認定・要介護認定について

1 本年度に実施された第二次要介護認定モデル事業では、一次判定において現行制度よりモデル事業のほうに出現状況の減少が見られるのは要介護一相当、要介護三、要介護五と報告されている。二次判定において現行制度よりモデル事業のほうに出現状況の減少が見られるのは要支援二、要介護二、要介護三、要介護五と報告されている。二〇〇六年の介護保険法改正以降、要介護(要支援)度が実際より軽く判定されたとの声を多く聞くが、二〇〇九年度以降、さらに軽度と判定される者が増え、判定に納得できないという声が強まることが懸念される。二〇〇九年四月にスタートする新・認定制度による更新認定以降、現行より軽度と判定される者の見込数を示されたい。また、軽度と判定され、現行よりサービス利用を抑制されたことに対する被保険者からの苦情、制度への不信の増大も予測されるが、どのような対応を具体的に行う考えなのか。
2 認知症の被保険者については、要介護認定の一次判定において要介護一以上の判定がなされるとのことだが、要支援一・二の認定を受ける者も多くいると聞く。要介護認定における認知症の定義について具体的に示されたい。

二 訪問介護員について

 訪問介護サービスにおける訪問介護員(ホームヘルパー)は非常勤が八割を超え、離職率も高いと聞く。次期介護報酬改定では「介護従事者の処遇改善」が大きな目的とされているが、施設サービスの不足、医療機関からの早期退院の促進などにより、在宅介護を支えるホームヘルパーの確保、若い世代の育成が必要不可欠と考える。安定した在宅サービスの提供のために、訪問介護員の処遇改善について、分科会にどのような提案がなされているのか具体的に示されたい。

三 サービス提供責任者について

 訪問介護事業所によっては、サービス提供責任者以外の人員はすべて非常勤という不安定な運営状況もあると聞くが、それにもかかわらず、分科会では訪問介護サービスのサービス提供責任者について、非常勤化を図る事務局提案がなされたと聞く。「介護従事者の処遇改善」のためには、サービス提供責任者を含むホームヘルパーの給与の引き上げとともに、安定した労働環境を確保することによりサービスの質の向上を図る必要があると考えるが、サービス提供責任者の非常勤化を図る目的とともに、サービス提供責任者の非常勤化が「介護従事者の処遇改善」に与える影響について、具体的に説明されたい。

四 身体介護について

 前回質問主意書(第一七〇回国会質問第九一号)において、訪問介護サービスの身体介護については、一・五時間を超えてサービスを提供した場合の三〇分八三単位の加算により、サービスの利用が制限されている実態について指摘をしたところ、身体介護に係る介護報酬については、現在、分科会において行われている平成二一年四月の介護報酬改定に向けての議論の結果も踏まえて、適切な設定等に努めるとの答弁があったが、「身体介護」の課題について、分科会にどのような提案がなされているのか具体的な内容を示されたい。

五 施設サービスなどにおける居住費・食費の自己負担に対する補足給付について

 前回答弁書においては、介護保険施設に入所する者であって低所得者としての一定の要件を満たす者であれば、特定入所者介護予防サービス費・特定施設入所者介護サービス費(以下「補足給付」という。)の支給対象となり、当該利用者自らが基準費用額を超える費用を支払って食事や居室の提供を受けることを希望し、その費用について当該介護保険施設が提示した金額を支払うことに同意している場合は、補足給付の対象とはならないとされている。現在、介護老人福祉施設(以下「特別養護老人ホーム」という。)の待機者は全国で三八万人ともいわれている。当該利用者が低所得者として一定の要件を満たし、介護保険施設に入所する必要があると判断され、しかし、基準費用額を超える食事や居室の提供のみを行っている特別養護老人ホームしか空室がない場合、どのような解決を具体的に図る考えなのか。

六 院内介助、散歩、通院等乗降介助について

1 前回答弁書においては、訪問介護サービスの院内介助については、通院等のための乗車又は降車の介助(以下「通院等乗降介助」という。)の前後に連続して身体介護を実施した場合であって、一定の条件を満たす場合には、院内介助を行った時間についても身体介護を行った時間に含めて介護報酬を算定することができるとの答弁があったが、「一定の条件」について具体的内容を示されたい。
2 前回答弁書においては、訪問介護員による散歩の同行については、現行制度においても、介護報酬の算定は可能とのことだが、介護保険法施行以降二〇〇七年度までの各年度における散歩の算定件数、費用額、受給者数を示されたい。
3 前回答弁書においては、訪問介護サービスの通院等乗降介助については、要支援者には乗車又は降車の際に訪問介護員による介助を必要とする状態にあることが想定し難いとのことだが、「想定し難い状態」について具体的に説明されたい。

  右質問する。