質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一三号

麻生内閣総理大臣のODA予算増額発言の微修正発言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月一日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 江田 五月 殿



   麻生内閣総理大臣のODA予算増額発言の微修正発言に関する質問主意書

 麻生太郎内閣総理大臣は十一月二十七日、ODA予算について記者団に対し、「今年と同じ額でもドルが下がった分だけ増額になる。ドルベースで言うと同じでも増える。それが基本」と述べ、二十六日の自民党「外交力強化に関する特命委員会」の提言を受け来年度ODA予算に関し「来年はマイナスは駄目だ」とした発言を「微修正」したと報じられている。そこで、以下質問する。

一 平成二十年度一般会計ODA予算の支出官レートは一ドル一一三円である。他方、平成二十一年度一般会計ODA予算概算要求時の支出官レートは一ドル一〇八円である。麻生内閣総理大臣の二十七日の発言を、ドルベースでのODA実績を減少させないことを表明したものと解した場合、理論上、右支出官レートの変動を受け、来年度一般会計ODA予算を前年度比マイナス約四・四二%の約六千六百九十二億円にまで削減することも許容されることとなり、来年度一般会計ODA予算は一九八八年以来初めて七千億円を割り込むこととなる。この意味で、本年第四回アフリカ開発会議を開催し、G8議長国を務め、かつ十月には新たな国際協力機構を発足させ、国際協力・援助に積極的な取組姿勢を対外的に表明した我が国として、二十七日の麻生内閣総理大臣の「微修正発言」は甚だ不適切なものと考えるが、政府の認識を示されたい。

二 また、二十七日の麻生内閣総理大臣の発言は、今後、外国為替市場が円安基調に転じた場合には、ドルベースでの我が国のODA実績を減少させないため、円安に伴う目減り分につきODA予算を増額させることを対外的に約束したものと解して良いのか、政府の認識を示されたい。

三 ODAの実績については、為替変動により変移する金額よりも、国の経済規模に照らした援助の割合をみる指標である対GNI比を基準とすることが国際的な標準となりつつあると考える。この点経済開発協力機構(OECD)が本年五月に公表した二〇〇七年の我が国ODAの対GNI比は、OECD開発援助委員会加盟二十二か国の平均〇・二八%を大きく下回る〇・一七%となっている。ミレニアム開発目標が対GNI比〇・七%達成を目標に掲げているのに対し極めて心もとない状況と言える。「来年はマイナスは駄目だ」とするのであれば、来年度一般会計ODA予算編成に当たって、我が国ODAの対GNI比を向上させる取組を行うべきと考えるが、政府の認識を示されたい。

  右質問する。