質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇〇号

研究開発予算に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十一月二十一日

櫻井 充   


       参議院議長 江田 五月 殿



   研究開発予算に関する質問主意書

 本年、ノーベル物理学賞を南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏が、また、ノーベル化学賞を下村脩氏が受賞することが決まった。技術立国を目指す我が国にとって朗報ではあるが、一方、次世代を担う研究者を育てていかなければならない我が国において、大学等で現在研究している研究者の立場が恵まれているとは思えない。また、各省庁により、研究予算が執行されるまでの期日にばらつきがあるだけではなく、年度末近くにならないと予算が下りてこない場合がある。これでは、研究期間も大幅に短縮されることになり、我が国にとっての大きな損失であることは間違いない。そこで、科学研究費補助金(以下「科研費」という。)に関して、もっと有効に使えるようにするために以下質問する。

一 我が国は、資源に乏しく、国際社会の中で勝ち抜くためには、技術開発が重要になると思うが、政府の認識は如何か。また、その点を踏まえて、国の科研費はいくらならば十分と言えると考えるか。さらにそれは他国と比較してどの程度なのか。

二 科研費が各研究者に配分されるまでにかかる時間は、各省庁により大きな差がある。文部科学省の科研費は比較的早いと聞いているが、各省庁の科研費が配分される時期は、平均すると何月ごろなのか。また、各省庁でばらつきがあるのは何故なのか。

三 科研費の配分が遅くなれば、研究期間が短縮されるのは当然のことである。その点を考えれば、なるべく早期に配分するか、もしくは翌年に繰り越す必要があると思う。要するに、文部科学省による科研費以外においても繰り越しを認めるなどの予算執行の弾力化が必要であると思うが、政府の認識は如何か。

四 国の研究費にて研究に必要な大型の機械等を購入する際、競争入札やその使用・設置に必要な行政の許可申請などに関連する一連の制度上の手続きやその他やむを得ない理由により時間を要し、その装置が年度内に納品されない場合がある。この場合、研究機関は、所管省庁やその中間にある受託法人などから装置の購入を諦め、研究の内容を変更するよう指導を受けることがあるという。これでは、国際競争を勝ち抜く上で大きなハンデになるのではないか。その点からも、正当な理由がある場合には予算執行の繰り越しを認めるようにするなど、現行システムを変更する必要があるのではないかと思うが、政府の見解は如何か。

五 研究予算もさることながら、研究者の育成のための教育予算も少ないという指摘もある。研究者育成のための国の教育予算はどの程度か。また、これは他国と比較して多いとの認識か。

六 研究者を育成するためには、研究者の給与ももっと厚遇されるべきではないのかと思う。政府は、大学の教授を始めとする、研究者の給与は十分と考えているのか。また、民間企業においても、技術者の給与は事務職との比較において、低い傾向にあると言われている。技術立国日本を目指すためには学生の理科離れを抑止し、技術立国を背負う人材育成が肝要であるが、日本の製造メーカーの研究者の給与は他業種と比較して、高くないことも理科離れの一因になっていると推測される。このような点を改善しなければ、研究者が育たないのではないかと思うが、政府の認識は如何か。

七 研究者を育成するためには、義務教育時代からの教育課程が大事であると考えられる。理科系離れが指摘されて久しいが、この点に関して政府においてはどの様な取り組みがなされているのか。

  右質問する。