質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六七号

農業振興地域の除外手続きに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月二十三日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   農業振興地域の除外手続きに関する質問主意書

 農村部の健全な土地利用を規定する法律として「農業振興地域の整備に関する法律」(以下、「農振法」という。)がある。この法律に基づいて、いわゆる「農振地域」が指定され、その地域では、一〇年間の農地利用を前提として地域計画を策定することが定められている。農振法は土地開発に厳しい制限をかけているが、この規制は、統制のとれない乱開発を防ぐためという非常に重要な意味を有している。特に、「食の安全保障」において農業の健全育成はきわめて重要であり、農地の安易な開発を防ぐためにも同法の重要性は増していると考えられる。
 しかしながら、例えば大規模ショッピングセンターの出店に伴い、農振地域の指定除外(以下、「農振除外」という。)が安易に行われる例が見られる。あるいは、農地法によると公共施設のための用途転用の場合は、許可が不要とされており(農地法五条一項四号及び同法施行規則七条六号)、農振地域における大規模開発は容易となっている。さらに除外予定地の一部を道路予定地として、開発のための農振除外の面積に加えないなどの事例も耳にしており、これについては脱法行為の疑いもあると考えられる。これらのことは、農業の健全な育成にとってはマイナス要因であり、また農振地域での大規模な施設や公共施設の建設は、中心市街地の衰退を招くなど、都市計画上の問題も抱えている。さらに、各地の自治体が財政的な問題を抱える中での安易な公共施設の建設は、当該地域の農業のみならず、すべての住民にとっての不利益に結びつく。
 土地利用という側面から、農業の健全な育成と地域の発展を追求するためには、安易な農振除外は行われるべきではなく、脱法行為を厳しく取り締まる必要がある。
 よって以下質問する。

一 過去二〇年間の農振地区と農用地地区の面積、および農振除外された面積について示されたい。また、農振除外された土地の用途についても示されたい。

二 農振除外の明確な基準について示されたい。また、農振除外が申請された場合、具体的にどのようなチェックが行われるのか示されたい。

三 前述の除外予定地の一部を道路予定地として、開発のための農振除外の面積に加えないという事例は、愛知県愛西市での総合斎苑建設をめぐるものであるが、このような事例は脱法行為にあたるのか見解を示されたい。また、このような事例は脱法行為ではないとしても、住民に疑義を抱かせる可能性が高く、好ましくないと考えられるが、国として住民の疑義を招くような農振除外の申請に対して、どのような指導を行っているのかを説明されたい。

  右質問する。