質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六一号

共同親権法制化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月二十二日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   共同親権法制化に関する質問主意書

 民法八百十九条では、離婚後の親権は父母の一方のみが親権者となる単独親権制度となっており、婚姻中は共同親権であるが、離婚時にはどちらか一方の親の単独親権に決めなければならない。
 一方、欧米の先進国では一九六〇年代後半から一九八〇年代後半にかけて離婚制度の大改革が行われ、離婚の自由化が進み、これにより離婚に巻き込まれる子供の数が急増したことから、立法者の最大の関心は、子供の福祉、子供の利益に最大の配慮を払うことに集中してきた。その結果、離婚が子供に与える影響を最小限に抑えるために、共同親権、共同監護、面接交渉権の地位強化が図られてきた。
 日本でも離婚数が年々増加して、厚生労働省の調査によると平成十四年には戦後最高の離婚数を記録している。離婚時の親権の帰属をめぐる紛争や、離婚後の子供の監護に関する処分をめぐる紛争は年々増加しており、子供に大きなストレスと不安を与え、その健全な成長を阻害しかねない状態にある。これを踏まえて以下質問する。

一 現行の民法八百十九条に定めている、単独親権制度は、核家族化や女性の経済的社会的地位の向上、父親の育児に対する意欲の昂進や少子化等により、家族の実態が激変している中で、子供の権利ないし利益について法解釈によってのみ対応し、個別具体的事情に即し十分に機能を果たすことが困難となっており、現在のこのような実情に合わなくなってきているのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 現行の単独親権制度は、制度を定めた当時とは、社会状況、離婚に対する社会の受けとめ方や見方も変わっている中、父母双方とも親であることに変わりがないにもかかわらず、親権者を一方と決めることは、他方が親権を失うことになり、離婚の問題と前向きに対応し、子供に対するマイナスの影響をできるだけ少なくしたいと努力する父母にとっては障害となっているのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。また、現行の単独親権制度における問題点を早急に検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 親権をめぐり離婚紛争が長期化、複雑化し、親権という権利を奪い合うという現行の単独親権制度に代え、子供に対する共同責任をいかに果たすべきかという制度である共同親権制度を導入することにより、無用な紛争も減少するとともに、単独親権の濫用の弊害も無くすことができるなど、現行の制度より問題の解決が容易になると考える。現行民法を改正し、共同親権制度を導入すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。