質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五三号

三浦和義氏の共謀罪容疑等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月十五日

喜納 昌吉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   三浦和義氏の共謀罪容疑等に関する質問主意書

 米当局から共謀罪容疑をかけられ身柄をロサンジェルスに移送された三浦和義元社長が現地時間十日夜、拘置所内で「自殺」したとされる。三浦氏の経歴のいかんにかかわらず、日本人が米自治領内で殺人罪、共謀罪の二つの容疑で逮捕され、米本土に移送された直後にして共謀罪で起訴される直前に「自殺」したとされる事実は見過ごすことが出来ない。ついては、三浦氏逮捕から自殺に至る間の日米政府間・当局間の協力関係などについて、以下質問する。

一 三浦氏が今年二月二十二日、米領サイパンで殺人罪および共謀罪の容疑で逮捕された際、日本政府・当局は、「一事不再理」の法廷原則があるにもかかわらず殺人容疑までかけられたことに関して米政府・当局に対し、注意喚起、異議申し立て、抗議などをしたか否かを明らかにされたい。

二 三浦氏の「自殺」に関し、日本政府・当局は米政府・当局に対し、真相解明のための厳密な調査を要請したか否かを理由とともに明らかにされたい。

三 今月十二日付の朝日新聞は社会面掲載の「ロス事件闇の中に」「真相期待したが」と題した記事で、「日米の捜査当局は、有罪立証に向け、水面下で裁判記録を調べるなどの協力を続けてきたとみられる」と前置きし、「法務省の幹部は『米国と連絡を取り合ってここまで来たのに、すべてが無になった』と悔しさをにじませた」と報じている。「法務省幹部」の発言からも、日米当局間の協力関係が存在したのは明確だ。ついては、サイパンでの逮捕に備えた日米捜査当局間の協力関係がいつ、どのようにして始まり、どのような経過をたどって今日に至ったかの詳細を明らかにされたい。

四 日本には「共謀罪」はないが、小泉政権と安倍政権は共謀罪関連法の成立を目指していた。日本版共謀罪法案が民主主義を蹂躙する極めて弾圧的な悪法の法案であることが明らかになったことなどから、法案が法として成立することはこれまでなかったが、三浦氏を共謀罪容疑で起訴しようとしていた米当局に日本当局が協力していたことが十分にうかがえる。「共謀罪容疑による起訴」を、「日本での共謀罪関連法の必要性」といったものを宣伝するための日米合作の企てと受け止めることも可能だろう。このことは、福田政権と麻生政権に、三浦氏の「共謀罪による起訴」を契機として「日本での共謀罪の必要性」を喧伝する方針があったのではないかという疑いを有権者に抱かしめかねないとも言える。ついては、日本で共謀罪関連法を成立させるための協力関係が日米間にあったか否かを明らかにされたい。

五 総じて三浦氏逮捕から「自殺」に至る過程で、同氏が殺人容疑の対象になされていたことが示すように、「一事不再理」がいったん無視されていた事実は、米当局によって日本の司法が著しく軽視されたことを物語る。ましてや、日本当局が米当局に協力していたとすれば、言語道断だ。日本の司法が軽んじられていた事実を政府はどう受け止めているのか。明らかにされたい。

  右質問する。