質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二六号

国家賠償法第一条第二項に基づく求償権行使事例に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月一日

近藤 正道   


       参議院議長 江田 五月 殿



   国家賠償法第一条第二項に基づく求償権行使事例に関する質問主意書

 海幕で情報公開を担当していた自衛隊三佐が請求者の個人情報をリスト化し、防衛庁(当時)内で閲覧していたことが発覚した。これを受け、リストに記載された作家と弁護士が、二〇〇二年五月、それぞれ国家賠償請求訴訟を起こした。両訴訟においては、いずれも国側敗訴を認める判決が確定した。本年八月には、これを受けて防衛省が国家賠償法第一条第二項に基づき、賠償額を当該公務員個人に求償し、当該公務員がこれを支払った旨の報道がなされた。
 右事案については、訴訟においても作成者公務員個人のみならず、組織としての防衛庁の関与が強く疑われたことから、個人に対する求償が妥当であったのか、疑問なしとしない。他方、国が組織的な責任回避のために、「あくまでも個人責任」として安易に求償権が濫用されるようなことがあってはならない。そこで、「故意又は重大な過失」をともなうような重大な事例においては、何らかの行政処分ないし刑事処分がなされるべきであると考える。
 そこで、以下、質問する。

一 過去十年間における、国家公務員の違法行為につき、国家賠償法第一条を根拠に損害賠償請求訴訟が提起された件数を、各年別、各省庁別に明らかにされたい。

二 一のうち、国側敗訴判決が確定した件数および賠償額の合計を、各事案の概要(認定された賠償額を含む)と併せて明らかにされたい。

三 二のうち、国家公務員個人の故意又は重大な過失が認められたものがあればその件数を、故意あるいは重大な過失の別に明示されたい。

四 三について、求償権を行使したことがあったか。求償権行使の有無それぞれにつき、その理由を明らかにされたい。

五 三について、行政処分または刑事処分ないしその両方の処分がなされたか。処分の有無それぞれにつき、その理由を明らかにされたい。また、その内容及び確定した結果はどのようなものだったか明らかにされたい。

六 国家賠償法第一条第二項に基づく求償権の行使について、政府の基本的な考え方を明らかにされたい。

  右質問する。