質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

今後の経済連携協定の推進についての基本方針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年九月二十五日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   今後の経済連携協定の推進についての基本方針に関する質問主意書

 経済連携促進関係閣僚会議が、平成十六年十二月二十一日に発表した「今後の経済連携協定の推進についての基本方針(以下「基本方針」という。)」は、日本の経済連携協定(以下「EPA」という。)戦略における方針を六つの項目と別添により示したものである。しかし、基本方針は一般的、抽象的な方針を示すにとどまるものであり、具体的な達成目標、基本方針の各項目における優先順位、交渉相手国に関する具体的な優先順位など今後のEPA交渉におけるロードマップ、交渉手続きに関する具体的な規定などは示されていない。
 これを踏まえて、以下質問する。

一 わが国が現在EPAを締結している国はASEAN、メキシコ、チリなど八カ国であるが、貿易額が半分以上を占める中国・香港、アメリカ、EUなどの国/地域とのFTA・EPA交渉が進んでいない。この理由として、わが国の生産性が低い農業の保護の問題などが指摘されているが、今後のFTA・EPAの推進についての政府の基本的な方針を示されたい。

二 基本方針は、EPAを「経済のグローバル化が進む中、WTOを中心とする多角的な自由貿易体制を補完するものとして我が国の対外経済関係の発展及び経済的利益の確保に寄与するもの」、「我が国及び相手国の構造改革の推進にも資するもの」としているが、右の「経済的利益」や「構造改革」に関して、具体的な数値分析がなされているかを詳細に示されたい。

三 基本方針は、EPAを「東アジア共同体の構築を促す等、政治・外交戦略上、我が国にとってより有益な国際環境を形成することに資する」もの、「東アジアを中心とした経済連携を推進するという我が国の方針を具体化するもの」であると示しているが、右基本方針に対し、具体的な達成目標が設定されているかを詳細に明らかにされたい。

四 基本方針の実現に向けた、短期的・中長期的なマクロスケジュールの全体像を示した具体的なロードマップを示されたい。また、右ロードマップがいかなる根拠に基づくものかを明らかにされたい。

五 基本方針の別添資料にある「交渉相手国・地域の決定に関する基準」には、三項目に渡りEPA交渉相手国の選定基準が掲げられているが、EPA締結に向けた短期的な目標国・中長期的な目標国が設定されているのか、具体的かつ詳細に示されたい。

六 基本方針は、「これまでの交渉の経験も踏まえ、交渉の進め方や作業を効率化するよう努めるとともに、必要な人的体制を更に整備すること」としているが、実際に交渉体制に関する規定、交渉前段階・交渉中段階・交渉後段階における交渉手順に関する規定が定められているか、具体的かつ詳細に示されたい。

七 基本方針には、「民間専門家の一層の活用についても検討する」と、EPA交渉における民間との協力に関する方針が示されているが、大学の専門家や民間の研究機関の活用についてどのような検討をしているのか、具体的かつ詳細に明らかにされたい。

  右質問する。