質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

駐留合衆国軍隊の構成員等の自動車任意保険加入と交通事故被害者補償に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年九月二十四日

山内 徳信   


       参議院議長 江田 五月 殿



   駐留合衆国軍隊の構成員等の自動車任意保険加入と交通事故被害者補償に関する質問主意書

 我が国に駐留する合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族による不法行為のうち、その大半が交通事故であることは防衛省統計からも明らかである。しかし、事故防止策や被害者国民に対する適正な補償制度は未だ不十分である。
 交通事故防止策としては過去、新兵に対する交通安全教育等々が日米両国間で検討され実施されてきたところであるが、駐留米軍人等による交通事故は後を絶たない。
 一方、被害者への適正な補償を狙いとして平成八年十二月二日にとりまとめられた「沖縄に関する特別行動委員会」最終報告(以下、「SACO最終報告」という。)の「地位協定の運用の改善」の項では、任意自動車保険について、「任意自動車保険に関する教育計画が拡充された。さらに、米側は、自己の発意により、平成九年一月から、地位協定の下にある全ての人員を任意自動車保険に加入させることを決定した。」と謳われた。
 そこで以下質問する。

一 SACO最終報告の「地位協定の運用の改善(任意自動車保険)」の項にある「…地位協定の下にある全ての人員」とは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族のことを指していると思われるが、そのとおりか。

二 我が国では、「自賠責保険(強制保険)」に加入していないと、自動車損害賠償保障法により一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科せられ、更に自賠責保険で補えない賠償額を補うため「任意保険」加入を奨励しているところであるが、右記のSACO最終報告の「地位協定の運用の改善(任意自動車保険加入)」についても、自賠責保険加入を義務付けた上に任意保険に加入させることを決定したものと解釈してよいか。

三 二の解釈でよいとすれば、地位協定の下にある全ての人員の自賠責保険及び任意自動車保険の加入率について、平成九年度より年度別に明らかにされたい。

四 二の解釈が誤りであるとすれば、その理由と、地位協定の下にある全ての人員による事故被害者に対する補償措置について明らかにされたい。

五 また、SACO最終報告の「地位協定の運用の改善(任意自動車保険加入)」で謳われた、地位協定の下にある全ての人員が加入しなければならない任意自動車保険の最低保障額を対人・対物の別に示されたい。

六 多くの米兵等、特に若年層の米兵等の給料は安く、その経済的負担軽減から一年満期ではなく三ヶ月満期の任意自動車保険に加入するケースが多い。その上、満期の三ヶ月を経過しても更新手続を行っていない実態が、平成九年五月以降、米兵等による交通事故のたびに報道され、任意自動車保険加入の実効性が問われてきた。任意自動車保険の更新について、当然その義務は生ずるものと思われるが、間違いないか。

七 我が国では、万一、自賠責保険及び任意自動車保険に加入せずして人身事故を起こした場合、若しくはひき逃げなど加害者が特定できない場合、自賠責保険料の一部を使った「政府保障事業」から保障金が支払われ、被害者の保護・救済が図られており、また、加害者が特定できた場合は支払われた保障金を求償する仕組みとなっている。万一、米兵等(地位協定の下にある全ての人員)による人身事故が発生し、その米兵等が自賠責保険及び任意自動車保険に加入していなかった場合、同様の措置が施されるのか。

  右質問する。