質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四六号

内閣参質一六九第一四六号
  平成二十年六月十七日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員辻泰弘君提出地方公務員共済組合の長期給付に係る基礎年金拠出金に対する地方公共団体負担に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻泰弘君提出地方公務員共済組合の長期給付に係る基礎年金拠出金に対する地方公共団体負担に関する質問に対する答弁書

一及び五について

 基礎年金制度が導入された昭和六十年の制度改正前における、地方公務員共済組合の実施する長期給付(以下「地共済年金」という。)については、公共企業体と同様、国庫負担によらず、保険料率の一定割合を地方公共団体が負担していた。
 昭和六十年の制度改正において、国民年金制度が全国民共通の基礎年金を支給し、この上乗せとしての報酬比例年金を各被用者年金制度が支給する二階建ての制度体系に改め、基礎年金の給付に要する費用については、国民年金制度及び各被用者年金制度に対して共通の方法による負担を求めることとされたが、地共済年金については、従来の制度との連続性や公共企業体における負担方法とのバランスなど様々な事情を考慮し、地方公務員共済組合の基礎年金拠出金に係る負担は、国庫負担相当額についても、地方公共団体が負担することとした。
 御指摘の地方公共団体負担は、地共済年金が地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)及び地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)に基づく地方公務員の共済制度の一環であることから、同制度を支える地方公共団体が社会保険制度を維持する立場から行っているものであり、他の被用者年金制度における基礎年金拠出金の国庫負担と同様のものである。

二について

 昭和六十年の基礎年金制度創設以降の地共済年金に係る基礎年金拠出金の負担については、地方公務員共済組合の組合員のうち、国家公務員である警察庁の所属職員及び地方警務官である者並びに地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第八十七号)第一条による改正前の地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)附則第八条に規定する職員に係るものは国が負担し、地方公務員に係るものは地方公共団体が負担している。しかし、直近の平成九年度から平成十八年度までを除き、両者を個別に集計した統計資料がないため、昭和六十一年度から平成八年度までの地共済年金に係る基礎年金拠出金の国及び地方公共団体による負担額の合計額の推移については、昭和六十一年度が千二百六十六億円、昭和六十二年度が千六百四十二億円、昭和六十三年度が千八百二十二億円、平成元年度が四千五百七億円、平成二年度が千六百六十二億円、平成三年度が千八百九十九億円、平成四年度が二千百四十一億円、平成五年度が二千二百七十七億円、平成六年度が二千三百六十二億円、平成七年度が二千六百二億円、平成八年度が二千七百八十六億円であり、平成九年度から平成十八年度までの地方公共団体の負担額の推移については、平成九年度が二千八百四十五億円、平成十年度が二千八百七十四億円、平成十一年度が三千二十億円、平成十二年度が三千三百三十八億円、平成十三年度が三千四百九十八億円、平成十四年度が三千四百三十一億円、平成十五年度が三千二百九十三億円、平成十六年度が三千七百八十七億円、平成十七年度が三千八百十七億円、平成十八年度が三千九百四十七億円である。

三について

 昭和三十七年の制度発足以降の地共済年金の給付に対する国庫負担は、地方公務員共済組合の組合員のうち、国家公務員である警察庁の所属職員及び地方警務官である者並びに地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律第一条による改正前の地方自治法附則第八条に規定する職員についてなされているものであり、その額の推移は、平成九年度が百七十九億円、平成十年度が百八十二億円、平成十一年度が百七十八億円、平成十二年度が百三億円、平成十三年度が百九億円、平成十四年度が百億円、平成十五年度が八十三億円、平成十六年度が八十七億円、平成十七年度が九十三億円、平成十八年度が八十六億円である。なお、平成八年度以前の地共済年金の給付に対する負担額については、国庫負担額と地方公共団体負担額を個別に集計した統計資料がなく、お答えするのは困難である。

四について

 お尋ねの基礎年金拠出金の公経済負担とは、国・地方公共団体等が事業主や被用者以外の者として、社会保険制度を維持する立場から基礎年金について一定の負担をすることをいい、現在では、国、地方公共団体及び独立行政法人の一部がこれを行っている。

六について

 政府としては、御指摘のような検討は行っていない。

七について

 御指摘の推計は、公的年金制度の在り方の検討に資することを目的として行った「公的年金制度に関する定量的なシミュレーション結果」の一部であり、基礎年金の税方式化の場合に追加的に必要となる税財源の規模、消費税率換算及び軽減される保険料負担額を試算しているが、その負担主体について前提を置いて試算を行ったものではない。
 また、税方式化した場合の二千五十年度までの地共済年金に係る基礎年金の負担見込額については、御指摘の推計においては試算していない。