質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二二号

内閣参質一六九第一二二号
  平成二十年五月二十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員前川清成君提出保険約款に対する監督における具体的判断基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出保険約款に対する監督における具体的判断基準に関する質問に対する答弁書

一について

 具体的には、例えば、保険金支払、免責事由、告知義務等の規定において、保険契約者等の利益を不当に害するものとなっていないことである。

二について

 保険契約者等とは、保険契約者、被保険者、保険金額を受け取るべき者その他の関係者である。

三について

 具体的には、例えば、保険契約者等の利益を不当に害する場合であり、約款の審査においては、一についてで述べたように、保険契約の内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれのないものであるか否かを判断することとなる。約款の認可については、保険業法(平成七年法律第百五号)第三百十三条第一項の規定により、内閣総理大臣の権限が金融庁長官に委任されている。

四について

 保険業法第一条においては、保険業法の目的について、保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することにより保険契約者等の保護を図る旨が規定されており、この目的を踏まえ、御指摘の「保険契約の内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれのないものであること」との規定が定められているものである。
 なお、お尋ねの審査基準の違いによる具体的適用の差異については、現行の審査基準とは異なる仮定の審査基準を前提としてそれを適用する場合についての御質問であることから、お答えすることは差し控えたい。

五について

 保険業法に基づく認可の申請があった約款について、審査を終了した段階において、「保険契約の内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれのないもの」ではないと判断した約款は存在しない。

六について

 具体的には、例えば、年齢や健康状態等を理由として契約内容に差を設けることに合理的な理由がある場合である。

七について

 具体的には、例えば、契約内容に差を設けることに合理的な理由がない場合であり、約款の審査においては、六についてで述べたように、保険契約の内容に関し特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないか否かを判断することとなる。約款の認可については、保険業法第三百十三条第一項の規定により、内閣総理大臣の権限が金融庁長官に委任されている。

八について

 「保険契約の内容に関し特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと」と定められているのは、保険契約の内容が特定の者に対して合理的理由のない差別的取扱いをするものでないことを確認する趣旨である。
 なお、お尋ねの審査基準の違いによる具体的適用の差異については、現行の審査基準とは異なる仮定の審査基準を前提としてそれを適用する場合についての御質問であることから、お答えすることは差し控えたい。

九について

 金融庁としては、御指摘の保険料の割引については、当該保険料の割引に係る算出方法が保険数理に基づき合理的かつ妥当なものとなっているなど、合理的理由のない差別的取扱いには該当しないものと認識している。

十について

 具体的には、例えば、保険契約の内容が違法行為による罰金をてん補するものではないことである。

十一について

 金融庁としては、何が「公の秩序又は善良の風俗を害する行為」に該当するかは、その時点での社会通念等に照らして判断されるものと認識している。

十二及び十三について

 具体的には、例えば、保険契約の内容が違法行為による罰金をてん補するものである場合であり、約款の審査においては、保険契約の内容が公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないものであるか否かを判断することとなる。約款の認可については、保険業法第三百十三条第一項の規定により、内閣総理大臣の権限が金融庁長官に委任されている。

十四について

 保険業法第一条においては、保険業法の目的について、保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することにより保険契約者等の保護を図る旨が規定されており、この目的を踏まえ、御指摘の「保険契約の内容が公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないものであること」との規定が定められているものである。
 なお、お尋ねの審査基準の違いによる具体的適用の差異については、現行の審査基準とは異なる仮定の審査基準を前提としてそれを適用する場合についての御質問であることから、お答えすることは差し控えたい。

十五について

 保険業法に基づく認可の申請があった約款について、審査を終了した段階において、「保険契約の内容が公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないもの」ではないと判断した約款は存在しない。

十六から十八までについて

 具体的には、例えば、約款において、保険契約の内容が正確に表されており、保険契約者等に誤解を生じさせない表現となっていることであり、約款の審査においては、このように保険契約者等の権利義務その他保険契約の内容が保険契約者等にとって明確かつ平易に定められたものであるか否かを判断することとなる。約款の認可については、保険業法第三百十三条第一項の規定により、内閣総理大臣の権限が金融庁長官に委任されている。
 保険契約者等とは、保険契約者、被保険者、保険金額を受け取るべき者その他の関係者である。

十九について

 御指摘の「権利」、「義務」、「その他」には、例えば、保険金支払を受ける権利、保険金を支払う義務や告知義務、免責事由等の契約内容が含まれる。

二十について

 金融庁としては、御指摘の約款については、「保険契約者等の権利義務その他保険契約の内容が保険契約者等にとって明確かつ平易に定められたもの」であると認識している。

二十一について

 保険業法に基づく認可の申請があった約款について、審査を終了した段階において、「保険契約者等の権利義務その他保険契約の内容が保険契約者等にとって明確かつ平易に定められたもの」ではないと判断した約款は存在しない。

二十二から二十五までについて

 具体的には、例えば、保険金の支払事由等が、保険契約者等のニーズを的確に反映したものであることである。
 保険契約者等とは、保険契約者、被保険者、保険金額を受け取るべき者その他の関係者である。

二十六について

 保険業法に基づく認可の申請があった約款について、審査を終了した段階において、「保険契約の内容が保険契約者等の需要及び利便に適合した妥当なもの」ではないと判断した約款は存在しない。

二十七について

 金融庁としては、いわゆる変額保険とは、一般に、死亡又は満期時の生存を保険事故とする保険で、保険料として収受した金銭を運用した結果に基づいて保険金、返戻金その他の給付金を支払うことを保険契約者に約したものを意味しているものと認識している。

二十八について

 金融庁としては、いわゆる変額保険は、昭和六十年の保険審議会の答申において、国民の金利選好の高まりや、高齢化の進展による生存保障ニーズの増大を背景として、変額保険へのニーズが高まっているとの指摘が行われたことを受けて、生命保険会社が商品開発を行ったものであり、「保険契約の内容が保険契約者等の需要及び利便に適合した妥当なもの」であると認識している。

二十九について

 具体的には、例えば、金額を保険証券等に表示したり、計算方法等を約款等に掲載するなど、保険契約の解約による返戻金の開示方法が、保険契約者等の利益を不当に害するものではなく適正であり、かつ、明らかとなっていることである。

三十について

 保険契約者等とは、保険契約者、被保険者、保険金額を受け取るべき者その他の関係者である。

三十一について

 具体的には、例えば、保険契約の解約による返戻金の開示方法が、保険契約者等の利益を不当に害するものである場合であり、約款の審査においては、二十九についてで述べたように、保険契約の解約による返戻金の開示方法が保険契約者等の保護に欠けるおそれのない適正なものであり、かつ、明瞭に定められているか否かを判断することとなる。約款の認可については、保険業法第三百十三条第一項の規定により、内閣総理大臣の権限が金融庁長官に委任されている。

三十二について

 保険業法第一条においては、保険業法の目的について、保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することにより保険契約者等の保護を図る旨が規定されており、この目的を踏まえ、御指摘の「保険契約の解約による返戻金の開示方法が保険契約者等の保護に欠けるおそれのない適正なものであり、かつ、明瞭に定められていること」との規定が定められているものである。
 なお、お尋ねの審査基準の違いによる具体的適用の差異については、現行の審査基準とは異なる仮定の審査基準を前提としてそれを適用する場合についての御質問であることから、お答えすることは差し控えたい。

三十三について

 保険契約の解約による返戻金の開示方法が保険契約者等の保護に欠けるおそれのない適正なものであり、かつ、明瞭に定められていることとは、具体的には、例えば、金額を保険証券等に表示したり、計算方法等を約款等に掲載するなど、保険契約の解約による返戻金の開示方法が、保険契約者等の利益を不当に害するものではなく適正で、かつ、明らかとなっていることである。
 他方、保険契約者等の権利義務その他保険契約の内容が保険契約者等にとって明確かつ平易に定められたものであることとは、具体的には、例えば、約款において、保険契約の内容が正確に表されており、保険契約者等に誤解を生じさせない表現となっていることである。
 なお、御指摘の具体的適用の差異については、異なる審査基準における適用の問題であり、一概にお答えできる性質のものではないと認識している。

三十四について

 保険業法に基づく認可の申請があった約款について、審査を終了した段階において、「保険契約の解約による返戻金の開示方法が保険契約者等の保護に欠けるおそれのない適正なものであり、かつ、明瞭に定められている」ものではないと判断した約款は存在しない。

三十五について

 保険金の支払時期は、保険業法施行規則(平成八年大蔵省令第五号)第九条の規定に基づき、約款の記載事項となっており、その内容が、保険契約者等の保護に欠けるおそれのないものであるか、また、保険契約者等にとって明確かつ平易に定められたものであるかといった基準に適合するものであるか否かを審査しているところである。

三十六について

 先の答弁書(平成二十年四月二十五日内閣参質一六九第一〇六号。以下「前回答弁書」という。)においては、保険業法施行規則第十一条各号に掲げる基準の一部を記載し、当該基準のその他のものについて「など」と記載したところである。

三十七について

 「保険会社向けの総合的な監督指針」は、保険会社の監督事務に関し、その基本的考え方、監督上の評価項目及び事務処理上の留意点について、体系的に整理したものである。

三十八について

 前回答弁書において、保険会社が作成した約款の審査に当たっての基準である保険業法及び保険業法施行規則の該当箇所の内容を記載したところである。「保険会社向けの総合的な監督指針」における「保険商品審査上の留意点等」については、保険業法及び保険業法施行規則に定められた基準に基づく約款の審査を行うに際しての留意点が記載されたものであるため、その名称を記載したものである。

三十九について

 「保険商品審査上の留意点等」は「保険会社向けの総合的な監督指針」の中の一項目であり、保険業法及び保険業法施行規則に基づき約款の審査を行う際の留意点等が記載されている。

四十について

 金融庁としては、御指摘の資料の提供等の「求め」の内容とこれに対する金融庁の認識に不一致があったため、「保険会社向けの総合的な監督指針」等の提供に至らなかったものであり、これを「隠蔽」したものではない。
 なお、「保険会社向けの総合的な監督指針」等については、金融庁ホームページにおいて公表しているものである。