質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇九号

内閣参質一六九第一〇九号
  平成二十年四月二十五日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員山内徳信君提出米軍人軍属による公務外事件事故の被害者の救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山内徳信君提出米軍人軍属による公務外事件事故の被害者の救済に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、米軍の構成員及び軍属並びにそれらの家族による事件・事故のすべてを把握しているわけではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二について

 平成八年十二月二日に発表された沖縄に関する特別行動委員会の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)において、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)の運用改善として、確定判決額と米国支払額の差額を埋めるための我が国政府による見舞金の支給が盛り込まれ、これまでに七件について見舞金を支払ったところであるが、お尋ねの「判決額、日本の穴埋額、支払発生日」については、個人のプライバシーにかかわることであり、お答えすることは差し控えたい。

三の1について

 政府としては、当事者間で示談が成立した米軍の構成員又は被用者(以下「米軍人等」という。)による事件・事故のすべてを把握しているわけではないことから、その件数についても把握しているわけではない。

三の2について

 政府としては、米軍人等による刑事事件で有罪が確定したもののうち、被害者から日米地位協定第十八条6の規定に基づく請求がなされなかったために米国政府から慰謝料が支払われなかったものがあると承知している。

四について

 日本国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行われたものでないものから生ずる米軍人等に対する請求権については、日米地位協定第十八条6の規定に基づき処理されている。一方、「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」(昭和三十九年六月二十三日閣議決定)において、日米地位協定第十八条6の規定等により救済されない直接の被害につき国が救済を必要と認めたときに見舞金を支給することができるものとされているが、防衛省が現在把握している限りにおいては、お尋ねのような米軍人等による強姦被疑事件に対して見舞金を支払った例はない。
 犯罪被害者等への支援については、犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)に基づき、「犯罪被害者等基本計画」(平成十七年十二月二十七日閣議決定)を策定して、府省庁横断的な対策を講じることとしている。
 お尋ねの「精神的なケアー」としては、警察においては、犯罪被害の発生直後から犯罪被害者等の精神的被害を軽減するための支援を行うことが重要であると認識しており、部外の精神科医等にカウンセリングの委嘱を行うなどして、犯罪被害者等の精神的被害の軽減に努めている。また、精神保健福祉センター及び保健所において実施している精神保健に関する相談や児童相談所において実施している子どもに関する相談の中で、精神的ケアを必要とする方への対応を行っている。さらに、学校においては、関係機関等と連携しつつ、犯罪被害を受けた児童生徒及びその家族の心情に配慮した上で、教育相談の充実に努めている。今後とも、これらの施策を通じて、犯罪被害者等を含む精神的ケアを必要とする方への対応を図ってまいりたい。

五について

 日本国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行われたものでないものから生ずる米軍人等に対する請求権については、日米地位協定第十八条6の規定に基づき、適切に処理されている。
 また、一層の被害者救済を図るため、SACO最終報告において、日米地位協定の運用改善として、我が国政府による無利子融資制度の創設及び確定判決額と米国支払額の差額を埋めるための見舞金の支給等が盛り込まれたところであり、政府としては、こうした措置の利用を促進していくことが重要であると考えている。かかる観点から、法的措置を新たに講じる必要はないものと考えている。