質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第七四号

内閣参質一六九第七四号
  平成二十年三月二十五日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出社会保険病院等の今後に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出社会保険病院等の今後に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 社会保険病院及び厚生年金病院の整理合理化計画(以下「計画」という。)については、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成十七年法律第七十一号)の国会審議における平成十七年六月十五日の衆議院厚生労働委員会の附帯決議(以下「附帯決議」という。)において「厚生年金病院の整理合理化計画については、地域の医療体制を損なうことのないように、十分に検証した上で策定する」とされたことから、できるだけ早期に策定することを目指して検討を進めているところである。

三及び四について

 社会保険病院の土地及び建物については、年金特別会計に所属し、社会保険庁が管理する国有財産である。仮にこれらの国有財産を処分した場合、当該国有財産に係る売却収入は、年金特別会計の歳入となる。

五について

 附帯決議の一については、地域の医療体制を損なうことのないように十分に配慮し、できるだけ早期に計画を策定することを目指して検討を進めているところである。附帯決議の二については、終身利用型老人ホームの譲渡に当たっては、その設置時の趣旨及び終身利用という事情を踏まえ、その取扱いについて検討しており、また、老人ホームの譲渡に当たっては、当該施設の引渡し後五年間有料老人ホームの運営を行うことを売却条件とするなどの配慮を行っているところである。附帯決議の三については、社会保険庁において、平成十七年十月十三日付けで年金福祉施設等の所在する地元自治体に対し当該施設の譲渡に係る事情を説明した文書を送付するとともに、また、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「機構」という。)において、同年十一月八日付けで機構が出資を受けた年金福祉施設等の所在する地元自治体に対し当該施設の譲渡等に係る意向を確認するとともに、必要に応じて直接出向くなど、地元自治体と相談していると承知している。附帯決議の四については、社会保険庁において、地元自治体への年金福祉施設等の運営委託先である公益法人が行う再就職支援に対する協力依頼や、社団法人日本経済団体連合会、地域の経済団体等への再就職支援の依頼等を行っているとともに、また、機構において、年金福祉施設等の事業価値も加味した上で事業継続を目指した売却を行うとともに施設購入者に対して職員の雇用の依頼を行った結果、相当数の施設において、事業の継続や職員の継続雇用が行われていると承知している。

六の1について

 計画が策定されていないことにより、地域の医療体制を損なうおそれもあると考えており、できるだけ早期に計画を策定してまいりたい。

六の2について

 社会保険病院については、厚生労働省が平成十四年十二月二十五日に決定した「医療保険制度の運営効率化について」に基づき、既に整理合理化を進めることとしているところである。

七について

 社会保険庁としては、各方面からの社会保険病院の存続に関する要望書等を通じ、御指摘のような状況があると承知している。

八から十までについて

 社会保険庁としては、御指摘の社会保険病院及び厚生年金病院を機構に出資するとの案については、当該病院の整理合理化についての選択肢の一つと考えているが、当該病院の整理合理化に当たっては、昨今の地域における医師不足や診療科の休廃止等の指摘があることを踏まえると、地域医療体制への十分な配慮が求められていると認識しており、この点に十分に配慮し、できるだけ早期に計画を策定してまいりたい。

十一について

 健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)第四条の規定による改正後の健康保険法(大正十一年法律第七十号)その他の法令においては、全国健康保険協会(以下「協会」という。)が社会保険病院を保有することは禁止されていない。

十二について

 御指摘の平成十九年十月二十五日に全国健康保険協会設立委員会(以下「委員会」という。)により公表された「全国健康保険協会の理念・運営方針について」においては、協会が社会保険病院を保有し、その運営を外部に委託することは想定していないものと考えている。

十三について

 御指摘の平成二十年三月十一日の委員会に提出された「全国健康保険協会定款及び運営規則(検討のための素材)」においては、協会が社会保険病院を保有することを禁止する規定は設けていない。また、御指摘の当該資料中の協会定款(検討のための素材)の第三十三条第一項(2)の規定については、今後委員会において決められることとなるが、当該規定においては、協会がお尋ねの施設を保有することは想定していないものと考えている。

十四について

 社会保険庁としては、御指摘の答弁以降、社会保険病院を保有する主体に関する決定を行っていない。

十五について

 社会保険診療所及び健康管理センターについては、厚生労働省及び社会保険庁が平成十七年三月三十一日に決定した「年金・健康保険福祉施設(病院を除く)に係る整理合理化計画」に基づき、既に機構において、当該施設の中心的な機能の維持を条件として一般競争入札により民間等への譲渡を進めているところであり、御指摘のような協会が保有するという方策は、取り得ないものと考えている。

十六について

 お尋ねについては、計画の内容、検討状況等を踏まえる必要があることから、現段階においてお答えすることは困難である。