質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第四○号

内閣参質一六九第四○号
  平成二十年二月二十六日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員平野達男君提出精神障がい者の雇用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平野達男君提出精神障がい者の雇用に関する質問に対する答弁書

一について

 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号。以下「障害者雇用促進法」という。)第四十三条第五項及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則(昭和五十一年労働省令第三十八号。以下「施行規則」という。)第八条の規定に基づき、事業主は、毎年六月一日現在の障害者(身体障害者、知的障害者及び手帳所持精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「精神保健福祉法」という。)第四十五条第二項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者であって、症状が安定し、就労が可能である者をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)である労働者の雇用に関する状況を公共職業安定所長に対して報告しなければならないこととなっている。この報告によれば、平成十九年六月一日現在、手帳所持精神障害者である労働者の数は、三千七百三十三人であり、手帳所持精神障害者である労働者の実雇用率(事業主又は国及び地方公共団体に常時雇用される労働者又は勤務する職員に対する障害者の割合をいう。以下同じ。)は、○・○二パーセントである。
 このような状況については、精神障害者の求職者が大幅に増加する中、その雇用を更に進めていくことが必要であると考えている。このため、雇用義務の対象とされていない手帳所持精神障害者を実雇用率の算定対象とすること、障害者雇用納付金制度に基づく助成金の支給等、職業リハビリテーションの実施、精神障害者の特性に応じた支援策の推進等の措置を講ずることにより、精神障害者を含めた障害者の雇用の促進を図っているところである。

二について

 障害者雇用促進法第四十条及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行令(昭和三十五年政令第二百九十二号)第八条の規定に基づき、国の機関は、毎年六月一日現在の障害者である職員の任免に関する状況を厚生労働大臣に対して報告しなければならないこととなっている。この報告によれば、平成十九年六月一日現在、手帳所持精神障害者である職員の数は、五十四人であり、手帳所持精神障害者である職員の実雇用率は、○・○二パーセントである。
 このような状況については、国の各機関において精神障害者の雇用の促進に配慮することが必要であると認識している。このため、手帳所持精神障害者については、一についてで述べたとおり、実雇用率の算定対象としたところであり、引き続き、精神障害者を含めた障害者の雇用を促進するための方策について検討してまいりたい。

三について

 法定雇用率については、障害者雇用促進法第四十三条第二項において、労働者の総数に対する身体障害者又は知的障害者である労働者の総数の割合を基準として設定するものとされており、手帳所持精神障害者については、法定雇用率の設定において含まれておらず、また、雇用義務の対象とされていないが、一についてで述べたとおり、実雇用率の算定対象とし、その雇用の促進を図っているところである。仮に、法定雇用率の設定において手帳所持精神障害者を含めることとした場合であっても、手帳所持精神障害者の割合を設けることについては、個々の企業では、障害種別を限定することにより、障害の特性に応じた雇用機会の確保が困難となる場合が考えられることなど、かえって障害者の雇用機会を狭めることにつながりかねないため、困難であると考えている。

四について

 障害者雇用促進法における精神障害者は、障害者雇用促進法第二条第六号及び施行規則第一条の四において、精神保健福祉法第四十五条第二項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者又は統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)若しくはてんかんにかかっている者であって、症状が安定し、就労が可能な状態にある者であるとされている。
 また、手帳所持精神障害者以外の精神障害がある者についても、障害者雇用促進法に基づく職業リハビリテーションの対象とされており、公共職業安定所による職業指導及び職業紹介、障害者職業センターによる専門的な職業リハビリテーション、障害者就業・生活支援センターによる支援等を実施しているところである。