質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第三九号

内閣参質一六九第三九号
  平成二十年二月二十六日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員平野達男君提出並行在来線にかかる施設整備費等の負担のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平野達男君提出並行在来線にかかる施設整備費等の負担のあり方に関する質問に対する答弁書

一について

 公共施設の維持管理等に係る費用については、まずは当該施設の管理主体がこれを負担するべきものであるが、御指摘のような場合には、当該施設の性質、利用の内容等に応じて、各利用主体が応分の負担をするのが基本であると考えている。

二について

 公共施設の建設等に係る管理主体や利用主体の費用負担の方法については、当該施設の性質、利用の内容等に応じて合理的に定められることが基本であると考えている。

三について

 整備新幹線の並行在来線については、「整備新幹線着工等についての政府・与党申合せ」(平成二年十二月二十四日政府・与党申合せ)において、「建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを認可前に確認すること」とされており、全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号)に基づく新幹線の工事実施計画の認可前に、旅客鉄道株式会社(以下「JR旅客」という。)からの経営分離について沿線地方公共団体の同意を得ているところである。
 経営分離された並行在来線を利用した鉄道貨物輸送に関しては、「整備新幹線の取扱いについて」(平成八年十二月二十五日政府与党合意)において「並行在来線のJRからの経営分離後も適切な輸送経路及び線路使用料を確保すること」とされている。
 これを踏まえて、国においては、平成十四年度に、五についてで述べる貨物調整金制度を創設したところである。
 沿線地方公共団体においても、並行在来線の経営分離に同意するに当たり、並行在来線の維持に中心となって対処することとした経緯や、地域の公共交通の確保に責任を有する立場から、並行在来線の維持について中心的な役割を果たすものと考えている。

四について

 日本貨物鉄道株式会社(以下「JR貨物」という。)が安定した経営を継続し得るような体制を定着させる観点から、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)において、国土交通大臣は、事業計画に関する認可や、命令等を通じて、JR貨物に対する監督を行うものとされている。

五について

 貨物調整金制度は、「整備新幹線の取扱いについて」(平成八年十二月二十五日政府与党合意)において「鉄道貨物輸送については、並行在来線のJRからの経営分離後も適切な輸送経路及び線路使用料を確保すること」とされていることを踏まえ、「整備新幹線の取扱いについて」(平成十二年十二月十八日政府・与党申合せ)に基づき創設された制度であり、具体的には、JR貨物が並行在来線を経営する第三セクター等に支払う線路使用料の額と、並行在来線の経営分離前にJR貨物がJR旅客に支払っていた線路使用料の算定方法を用いて算出した額との差額相当分を、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が新幹線貸付料収入の一部から、JR貨物に対して交付する制度である。

六について

 並行在来線に係るものを含め、鉄道線路を、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第十三条第一項に規定する第一種鉄道事業者及び同法第十五条第一項に規定する第三種鉄道事業者が同法第十三条第一項に規定する第二種鉄道事業者に使用させようとするときの維持管理費、資本費及び災害復旧費についての負担の在り方については、原則として鉄道事業者間の協議によって決定されるべきものと考えている。

七、九及び十一について

 IGRいわて銀河鉄道(以下「IGR」という。)が管理する並行在来線の指令システムの構築等の施設整備に要する費用に関するIGRと当該並行在来線の利用主体であるJR貨物との間における負担の在り方については、基本的に両者における協議によって決定されるべきものと考えており、現在、両者間における協議が継続しているものと認識している。
 また、当該費用に関するIGRの負担に伴う関係地方公共団体の負担の在り方については、基本的にIGRと関係地方公共団体との調整により、今後決定されるべきものと考えている。

八について

 現在の貨物調整金制度においては、基本的に施設整備費等の資本費については対象経費となっていない。

十について

 IGRが管理する並行在来線の指令システムの構築等の施設整備に要する費用に関するIGRと当該並行在来線の利用主体であるJR貨物との間における負担の在り方については、現在、両者間における協議が継続しているものと認識している。また、協議が継続している状況で施設整備に着手するために、岩手県とJR貨物との間において、当該費用の一部に対する融資等について合意がなされたものと認識している。