質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第三〇号

内閣参質一六九第三〇号
  平成二十年二月二十二日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員又市征治君提出道路建設計画と高規格道路および暫定工事の問題事例に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員又市征治君提出道路建設計画と高規格道路および暫定工事の問題事例に関する質問に対する答弁書

一について

 国道四十一号は、名古屋市から富山市に至る東海地方と北陸地方を結ぶ我が国の重要な幹線道路であり、災害又は通行規制により交通が遮断された場合、富山市と飛騨高山地域及び東海地方との間の移動が困難となり、広域的な物流及び人の移動に支障を生じるほか、国道四十一号の沿道に存する集落が孤立するなど、国道四十一号の沿線地域の住民の生活に重大な支障を生じるものと理解している。このため、富山高山連絡道路の整備は、落石、雪崩等による国道四十一号の通行止め等の通行規制を必要とする事態の解消を図ることを目的の一つとしている。この通行規制の規模や頻度がどのようなものであるかについての基準は定めていないが、事業の実施に当たっては、個別具体に通行規制の状況等を踏まえ、整備の必要性を検討しているところである。

二の1について

 国土交通省において、平成十三年度に、富山高山連絡道路の全線が開通した場合の効果を試算したところ、富山市と高山市の間の所要時間が約一時間に短縮されるとの結果が得られており、この結果を同年度に公表しているところである。当該試算は、富山高山連絡道路の延長約八十キロメートルを、当該試算を行った当時の地域高規格道路の設計速度である時速約八十キロメートルで除することにより算出している。
 また、現在事業を実施している富山市小糸から楡原までの約七キロメートルの区間については、事業の実施に際して、「客観的評価指標及び費用便益分析マニュアルの改定について」(平成十五年八月一日付け国都街第三十九号国土交通省都市・地域整備局街路課長・国道分評第十五号国土交通省道路局企画課長通達)に基づき、平成十八年に事業評価を実施している。その中では、東海北陸自動車道を始めとした将来の道路網を考慮したネットワークを設定した上で、平成四十二年時点の交通量等の推計を行い、富山市小糸から楡原までの区間の整備による走行時間短縮便益、走行経費減少便益及び交通事故減少便益を算出することにより、道路整備の効果を便益として算出している。

二の2について

 富山高山連絡道路の富山市小糸から高山市までの区間については、現時点ではルート及び構造等の計画の内容が未確定であることから、富山高山連絡道路の全線が開通する具体的な時期等についても未定である。

三について

 国道四十一号の富山市楡原から小糸までの区間においては、現在、楡原から庵谷までの約三キロメートルの区間において工事を進めているところである。庵谷から片掛までの区間は現在の国道を活用し、片掛から小糸までの区間についてはバイパスを整備することとして設計等を進めているところであり、現在工事を行っている庵谷橋(仮称)が無駄になるとの御指摘は当たらない。なお、庵谷から片掛までの区間の整備については今後の交通量等を勘案して改めて検討することとしており、そのルートについては、庵谷橋の位置等を考慮しつつ、決定することとしている。
 また、楡原から庵谷までの区間の工事が完成した際には、通行規制の要因である落石の危険箇所を回避して通行することが可能となることから、楡原から片掛までの区間の通行規制を解除できるものと考えている。

四の1について

 現在、国土交通省が富山県に示している事業費は、現時点で知り得る地形、地質等の条件下において適切な工事内容を想定して算定している。国土交通省としては、事業の実施段階においても適切にコストの管理を行い、現在示している事業費が増加しないよう努めてまいりたい。

四の2について

 国の直轄事業に係る地方公共団体の負担金については、事業から生じる受益が直接的にその事業の実施地域の地方公共団体にも及ぶことから、事業費の大部分は国が負担しつつ、受益者たる地方公共団体にも一定の負担を求めているものであり、合理性を有した制度であると考えている。地方分権については、従来より国土交通省として積極的に取り組んできたところであり、今後とも、地方分権改革推進法(平成十八年法律第百十一号)の基本理念にのっとり、国と地方の適切な役割分担の下で道路に係る施策を推進してまいりたい。