質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一六九第二号
  平成二十年一月二十九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員前川清成君提出平城京跡の大極殿復元工事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出平城京跡の大極殿復元工事に関する質問に対する答弁書

一について

 特別史跡であり世界遺産である平城宮跡については、その保存を確実に図り次世代以降に引き継ぐとともに、来訪者が国の律令国家形成期の古代都城文化を体験的に理解すること等を目的に整備活用している。御指摘の第一次大極殿正殿復原工事(以下「本件工事」という。)は、大極殿を可能な限り厳正に復原することで、平城宮における宮殿の在り方や奈良時代の建築技術等について、来訪者の体験的理解を大きく増進することを目的に実施している。

二について

 本件工事に要する費用の総額については、約百八十億円を予定している。平成十八年度までに支出した費用及びその内訳は、平成七年度に八千四百九十七万五千円、平成八年度に四億百七十万円、平成九年度に一億九百九十三万五千円、平成十年度に八千八百七十二万五千円、平成十一年度に二億七百三十七万五千円、平成十二年度に一億五千九百六十万円、平成十三年度に十二億六千七百六十六万五千円、平成十四年度に二十八億四千二百二十二万四千円、平成十五年度に二十三億八千百十六万百円、平成十六年度に十八億千四百七十九万八千百五十円、平成十七年度に十七億七千五百二十三万七千五百円及び平成十八年度に二十六億四千五百五十六万八千九百円である。

三について

 本件工事に関しては、竹中・淺沼・森本特定建設工事共同企業体に対して、素屋根等の仮設建物工事、基壇工事、木工事、彩色工事、屋根工事等の代金として、平成十三年度から平成十八年度までに百二十二億三千五百十七万三千円を支払っている。

四及び六について

 本件工事に使用した古代の大工道具は、ヤリガンナのみであり、奈良時代の部材の表面仕上げをできる限り忠実に復原するために使用したものである。文化庁としては、今後も本件工事と同種の復原工事を行う際は、可能な限り、古代の大工道具を用いることが望ましいと考えており、そのためには、古代建築技術が継承されることは有意義なことであると考えている。

五について

 本件工事については、全体として奈良時代の姿を忠実に復原するための技術工法の採用を前提として経費を積算しており、大工道具の違いによる工事代金、人件費等の差異については、把握していない。

七について

 主な用材である木材は、平成十三年度から平成十八年度までにおいて、工事の進捗状況に合わせ、二千五十一立方メートルを調達した。当該木材の調達価格は約九十八億四千五百万円である。

八について

 大極殿の利用や管理については、文化庁が平成十八年度に設置した専門家による「大極殿正殿内部活用検討会」等で検討しており、引き続き来訪者等による利用の在り方も含め、国土交通省、奈良県、奈良市等の関係機関とも協議しながら検討してまいりたい。

九について

 平城遷都千三百年記念事業協会では、平成二十二年に完成する大極殿を主会場施設として活用するとともに、奈良時代の歴史・文化を体感する区域の一部として、大極殿内部の公開を行い、当時の歴史的背景や大極殿の機能・役割、平城京の国際性を理解する場等に活用することを検討しているものと承知している。