質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一五一号

自動車通勤者等に対する通勤手当の所得税の非課税限度額に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年六月十日

辻 泰弘   


       参議院議長 江田 五月 殿



   自動車通勤者等に対する通勤手当の所得税の非課税限度額に関する質問主意書

 通勤手当は、通勤に要する費用に充てるために雇用主から被用者に支給されるものであり、まさに、勤務に伴う実費弁償的な性質を有している。そのような判断の下、昭和四十一年の所得税法改正によって非課税所得の位置付けが法制化され、昭和四十二年一月の制度開始以降、今日に至っている。
 この非課税とされる通勤手当については、交通機関利用者と自動車・自転車通勤者の二類型に区分され、それぞれに対する限度額が定められ、数次の引き上げが図られてきたところである。
 このうち、交通機関利用者に対する非課税限度額については、新幹線通勤の場合を考慮して、平成十年一月から十万円に引き上げられるなど、社会状況の変化に対応した改定が図られてきている。
 一方、自動車・自転車通勤者に対する非課税限度額については、この約二十年間、抜本的・本格的な引き上げがなされないままに放置され、特に、昨今の原油高騰を背景としたガソリン価格の著しい上昇が、自動車通勤者の通勤費用の増加を通じて、国民生活に大きな負担を与えているにもかかわらず、据え置かれたままである。
 同じ非課税所得として位置付けられた通勤手当の中にありながら、両者の近年の扱われ方の差異については著しく権衡を欠いていると言わざるを得ず、その早急な是正、すなわち自動車・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度額の引き上げが緊要となっている。
 かかる見地から、以下質問する。

一 自動車・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度額については、制度開始以降、いかなる基準に基づいて設定され、また、改定が図られてきたのか、政府の見解を示されたい。

二 自動車・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度額を通勤距離に応じて決めている理由は何か、その点についての政府の見解を示されたい。

三 雇用主が、自動車通勤者に対して、ガソリン代として、通勤距離(あるいは、これに代わる運賃相当額)によって設定された非課税限度額を超えて通勤手当を支給する場合に、当該非課税限度額を超える部分の金額が、例え実費相当額であり、月額十万円未満の額であったとしても、給与として課税され、非課税扱いとはならないこととしているのは何故か。また、こうした現行制度における扱いは、法定当初の「勤務に伴う実費弁償は非課税」という基本原則に反するものではないかと考えるが、この点についての政府の見解を示されたい。

四 自動車通勤者の通勤手当の非課税について、通勤距離により一律に定める定額や運賃相当額をもって限度額を定める現在の考え方を改め、「勤務に伴う実費弁償は非課税」という基本原則に、より適合的な考え方を検討する必要があると思われるが、この点についての政府の見解を示されたい。

五 交通機関利用者の非課税限度額は、平成十年に五万円から十万円に引き上げられたものの、自動車・自転車通勤者の通勤距離により設定された非課税限度額はほとんど引き上げられないままに推移する中で、ガソリン価格が平成十年一月の一リットル九十八円から現在の一リットル百七十円以上へと著しく高騰している状況の下においては、自動車通勤者の非課税限度額が大幅に引き上げられてしかるべきものと考えるが、この点についての政府の見解を示されたい。

六 五月二十二日の財政金融委員会における自動車通勤者の通勤手当に対する非課税限度額の引き上げを求める質問に対して、額賀財務大臣は、「ガソリン価格の上昇に伴って最近の民間の通勤手当の支給額が増えているのかどうか、現行の通勤手当の非課税限度額でカバーされない者がどの程度いるのか、それらをよく見ながら総合的な観点で検討すべきである」「実態をよく踏まえて考えさせていただきたい」と答弁したが、その実態調査と検討は既に行われているのか。行われているのであれば、その内容を示されたい。また、未だ実態調査と検討が行われていないのであれば、いつ開始し、いつ頃までに結論を得て対処する予定なのか、政府の今後の方針を明示されたい。

  右質問する。