質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一三二号

中国からのパンダ貸与に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年五月二十九日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   中国からのパンダ貸与に関する質問主意書

 本年五月六日、中華人民共和国(以下、「中国」という。)の胡錦濤国家主席が来日して、福田康夫内閣総理大臣との間で日中首脳会談が実現したことは喜ばしいことではあるが、その会談の中でパンダ外交が展開されたという報道がある。つまり、来日直前に東京都恩賜上野動物園で飼育されていたジャイアントパンダのリンリンが亡くなったこともあり、日本政府が中国に対してジャイアントパンダ二頭の貸し出しを要請し、中国側もこれを了承したとされている。しかし一方で、「レンタル料」が年間百万ドル(約一億円)との報道もあり、高額な料金を支払ってまでジャイアントパンダ二頭の借り受けが必要かどうか検討する必要性も指摘されている。
 そこでこうした事実関係を明確にするため、以下のとおり質問する。

一 ジャイアントパンダは、現在、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、いわゆる希少動物の売買等を禁じるワシントン条約付属書Ⅰに記載されているため商業目的の国際取引は全面的に禁止されており、学術研究目的の取引のみが認められている関係で、貸与しか認められないとされているようであるが、その通りか。この点は、当事者が政府であっても同様の取扱いになるか、政府間であっても贈与は認められないのか、明らかにされたい。

二 ジャイアントパンダ二頭の貸与については、どこの施設が飼育・展示に当たるのか。また、日本側から中国側に対して、名目の如何を問わず一定の資金提供がなされるのか。もし資金提供がなされるとすれば、それは誰がどのような名目でいくら負担するのか、それぞれ明らかにされたい。

三 現在、ジャイアントパンダを飼育しているのは、公的施設では神戸市立動物園のみと理解しているが、この件では、誰が中国側に年間いくら、どのような名目で支払っているか政府の承知しているところを明らかにされたい。仮に神戸市が負担しているとすれば、国が何らかの形でその負担軽減をしているか。しているとすれば、国はどのような補助ないしは支援をしているか、明らかにされたい。

四 ジャイアントパンダの貸与を受けると、四川省等から視察名目で来日した複数の中国人について、旅費、滞在費、会議開催費など、中国側の希望する費用を日本側が負担していたのではないかと思われる報道もあるが(「週刊文春」五月一五日号)、こうした事実があるか。もしそうだとすると、公的施設でジャイアントパンダの贈与ないし貸与を受けた以降、現在まで毎年、どのような名目でいくらの負担をしてきたか、政府の承知しているところを明らかにされたい。

  右質問する。