質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一一一号

在日米軍脱走兵逮捕への協力に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年四月二十二日

喜納 昌吉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   在日米軍脱走兵逮捕への協力に関する質問主意書

 政府は、本年三月十九日に神奈川県横須賀市で発生したタクシー運転手殺害事件で逮捕された容疑者が米軍の脱走兵であったこと受け、四月十一日に日米地位協定の運用改善策を発表した。それによると、「脱走の意志が明確な場合や、所属する部隊を三十日以上離脱したことにより米側が脱走兵と認定した場合、すべての脱走兵について直ちに都道府県警察に逮捕要請を行う、同時に日本政府に通報を行う。」という。
 これに対し四月十八日付の朝日新聞投書欄で、「戦争での殺人を嫌う良心的脱走兵に対しても同様に日本の警察が逮捕協力をするのか。これは日本国憲法の前文の精神に反するのではないか」との指摘がされた。
 この指摘を極めて重要なものと受け止め、以下質問する。

一 在日米軍脱走兵が「良心的脱走」である可能性がある場合、脱走兵の真意が不明なまま警察が逮捕に協力することは人道上大いに問題があると考えるが、見解を問う。

二 政府は、脱走兵が「良心的脱走」の意志を表明した場合でも逮捕協力するのか。また、逮捕後、どの様な対応をするのか。

三 良心的脱走兵の逮捕協力、米政府への引き渡しは、日本国憲法の前文にある「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」との精神に反すると考えるが、政府の見解を質す。

四 良心的脱走兵は、国際社会で人権・人道の観点から保護されるのが通例であり、政府がその逮捕の協力をするということは、日本の人権水準の程度が疑われることにもなりかねない。この点に関し見解を問う。

  右質問する。