質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第六九号

政府の二酸化炭素削減に対する取り組みに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年三月十日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   政府の二酸化炭素削減に対する取り組みに関する質問主意書

 日本は京都議定書において今後、温室効果ガスを基準年(一九九〇年)に対し六パーセント削減しなければならない。その中で、一番排出量が多い温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)である。地球温暖化対策推進本部の「京都議定書目標達成計画の見直しに向けた基本方針」によると、基準年度(一九九〇年、単位・百万t-CO2)のエネルギー起源二酸化炭素が一〇五九で、その内訳は、産業部門が四八二、業務その他部門が一六四、家庭部門が一二七、運輸部門が二一七、エネルギー転換部門が六七・九であった。それに対して二〇〇六年速報値(単位・百万t-CO2)では、エネルギー起源二酸化炭素が一一八四となり、その内訳が、産業部門が四五五、業務その他が二三三、家庭部門が一六六、運輸部門が二五四、エネルギー転換部門が七五・五である。
 企業・団体の排出量の削減は当然だが、家庭部門に属する国民に積極的に呼びかける必要がある。家庭部門は全体の一〇パーセントに当たり、自家用車、一般廃棄物を含めると家庭からの排出は約二〇パーセントに上る。これらを削減することにより、基準年の六パーセント削減がより確実になると思われる。NPO法人・気候ネットワークの試算では、「乗用車と飛行機の旅客利用の一割を鉄道にシフトすれば、CO2の排出を一パーセント減らせるという結果が出た。その削減量は一二三二万トンであり、京都議定書が定めた日本の基準年の排出量の約一パーセントにあたる。」とのことである。
 また、ドイツのメルケル首相は「一人当たりの温室効果ガス排出量を先進国も発展途上国も同じにする必要がある。」と述べている。このことからも、一人一人が意識的に温暖化対策に取り組む必要がある。
 そこで、以下質問する。

一 家庭部門の対策として出された、環境省による「現大綱におけるエネルギー起源CO2に関する家庭部門の対策の概要」は現在どのようになっているのか具体的に示されたい。

二 「現大綱におけるエネルギー起源CO2に関する家庭部門の対策の概要」の取り組みをどのように国民に知らせ、実施するのか、また国民に知らせるような取り組みを行ったのか具体的に示されたい。

三 乗用車と飛行機の旅客の一割を鉄道にシフトすることによってCO2を一パーセント削減できるとの試算があるが、CO2を一パーセント削減し鉄道利用者を増やすため、政府は、鉄道会社へ何らかの優遇措置を行っているのか具体的に示されたい。また、今後優遇措置を検討するのか具体的に示されたい。

四 国民一人一人に削減目標を設定することによりCO2削減の意識を高めるべきではないのか。また、普通の生活によりどのくらいCO2が削減されるか具体的に国民に知らせる仕組みを、政府は行っているのか具体的に示されたい。

五 発展途上国の国民一人一人が出来る二酸化炭素の排出削減を根付かせるような活動に対し、政府がODA等を通じて何らかの指導、あるいは、NGOが活動しやすいような環境整備を行っているのか具体的に示されたい。

六 将来を担う若い世代に対して、CO2削減を根付かせるような教育を行うべきであり、そのためには、ゆとり教育による総合学習を活用すべきであるが、今後、CO2削減を根付かせるような教育について、政府の認識と今後の取り組みについて具体的に示されたい。

七 今年洞爺湖サミットが行われるが、これに先駆け日本国民に対してCO2の削減を義務付けることを具体的に考えているのか、また、サミットにおいて全世界の国民一人当たりのCO2排出の削減を義務付けるようなことを提案するのか具体的に示されたい。

  右質問する。