質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第四四号

外国人短期労働者の労働保険及び社会保険に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月二十日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月 殿



   外国人短期労働者の労働保険及び社会保険に関する質問主意書

 少子高齢化、経済社会のグローバル化の時代にあって、今や様々な経済社会分野において外国人労働者の存在は不可欠なものとなっている。しかしながら特に技能実習生等短期労働者に適用すべき社会保障制度が実態とかけはなれているために、間接雇用・有期雇用として就労している外国人にとっては権利の侵害となり、日本人労働者にとっては、不当な賃金・労働条件の引き下げ圧力となり、間接雇用・有期雇用の一層の拡大を招く大きな要因となっている。
 そこで以下、質問する。

一 毎年我が国は、技能実習生等の外国人短期労働者を何名受け入れており、そのうち何名が労働保険・社会保険に加入しているか。実態は多くの外国人短期労働者が労働保険・社会保険に未加入であると認識しているが、政府の見解を示されたい。

二 外国人短期労働者に対する失業給付の実績(年度毎の給付総額及び件数)を示されたい。

三 製造現場において間接雇用や有期雇用で働く外国人労働者について、契約形態に応じ義務づけられている社会保険に、その多くが未加入である実態について、社会保険行政は、日本人労働者と比較して甘く見ていて、見逃しているとの指摘があるが、事実か。

四 外国人短期労働者は、帰国時に保険料を全額返納されない制度を知る故に、本人が適用を希望していないと聞いている。従って本人からの通報も日本人と比較して少ないわけで、そのような実態を踏まえ、特に外国人派遣労働者を雇用している事業所に的を絞って社会保険適用の有無の検査、指導等を行うべきと考えるが、いかがか。

五 外国人短期労働者への雇用保険適用について、従来政府は、日本人労働者との公平性の観点でのみその妥当性を主張してきたが、保険制度の理念からみて、極端に給付総額や件数が少ないと思われるにもかかわらず、外国人短期労働者が日本人と同じ保険料を払うのは公平性にかけるのではないか。

六 永住を意図しない外国人短期労働者の社会保険への加入促進を図るため、健康・年金・介護保険のセット加入義務の緩和や、年金・介護保険部分の帰国時返納制度の創設、或いは外国人向けの医療保険制度の創設、公的年金の脱退一時金制度を抜本的に見直して帰国時に年金保険料を返納する制度の創設、社会保険加入と外国人登録の連動、短期の健康保険のみの特別加入制度の創設、民間短期外国人疾病保険への加入義務化、老齢年金の最低加入期間の十五年への短縮など、さまざまな提言が自治体や経営者団体、民間有識者などから示されている。これらについて政府は、国際社会における我が国経済社会の安定と発展の大局的見地から、個々の提言の妥当性と実現可能性について早急に検討し、果断に実施すべきことは実施していくべきではないか。

  右質問する。