質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

並行在来線にかかる施設整備費等の負担のあり方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月十八日

平野 達男   


       参議院議長 江田 五月 殿



   並行在来線にかかる施設整備費等の負担のあり方に関する質問主意書

 新幹線新青森開業が平成二十二年度に予定されており、八戸・青森間の東北本線がJR東日本から分離されることに伴って実施される並行在来線の施設整備などの負担をめぐって、国、自治体、JR貨物間での調整が急がれている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 特定の公共施設の利用主体が複数の場合には、当該公共施設の維持管理費、施設の更新、改良にかかる資本費、災害復旧費など公共施設の運営、管理にかかる全ての費用は、それぞれの利用主体が、客観的な考え方に基づいた応分の負担をすることが基本であると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 建設、更新などにあたっての、利用主体間の費用アロケーション(費用の負担率を目的ごとに割り振りすること)の方法として、ダム建設などにおいては、分離費用身代わり妥当支出法、優先支出法が適用されている例が多いと聞いている。一般の公共施設の建設などにおいての費用アロケーションの基本的な考え方はどうなっているのか。政府の見解を示されたい。

三 経営分離された並行在来線を利用した鉄道貨物輸送は、国の運輸政策上どのような位置づけを持っているのか。また、その維持・振興に関し、国は法律上、実態上どのような責務を負っているのか。さらに、自治体はどのような責務を負っているのか。政府の見解を示されたい。

四 JR貨物の経営について政府はどのような責務を負っているのか。政府の見解を示されたい。

五 鉄道運輸機構とJR貨物との間にある調整金制度とはどのような趣旨によって設立された制度か。また、その概要、財源はどうなっているのか。

六 新幹線の開業に伴って経営分離される並行在来線について、利用主体間における維持管理費、資本費、災害復旧費についての負担のあり方について、政府は関係自治体などと協議の上、早急に基準となる考え方(ガイドライン)を示すべきではないか。

七 八戸・青森間のJR東日本からの経営分離に伴って、IGRいわて銀河鉄道が管理する並行在来線の指令システムの構築等の施設整備が必要である。この施設整備に要する費用について、JR貨物は並行在来線の利用主体として、貨物列車が走行することによって発生するコスト増分を基本とした負担など応分の負担をすべきと考える。政府の見解を示されたい。

八 JR貨物が前記の考え方に基づき施設整備費の一部負担することになった場合、調整金の支払い対象となりうるのか。

九 前記の施設整備費について、JR貨物が負担に応じなければ、全額岩手県並びに沿線市町村負担となる。県及び沿線市町村はその負担に、負担すべき理由がない、として難色を示しているが、自治体にこうした負担をさせることは適切な措置といえるか。政府の見解を示されたい。

十 岩手県とJR貨物間との負担協議が難航している。スケジュール通りに新幹線新青森が開業し、並行在来線がJR貨物の運行を含め支障なく運営されるためには、IGRいわて銀河鉄道が管理する並行在来線の施設整備については、遅くとも、来年度から着手する必要がある。このため、施設整備にかかる費用の負担の主体、負担割合が決まらないまま、岩手県は、費用の一部をJR貨物からの融資によって充当することで来年度からの整備に着手することにしている。とりあえず、JR貨物の協力を得つつ、岩手県の全額負担での施設整備の実施をすることになる。これまで、岩手県は費用負担の明確化に関し、国土交通省、JR貨物に精力的な働きかけを行ってきた。にもかかわらず、費用負担が決まらないまま、岩手県が工事に着手しなければならない状況になっている原因について政府はどのような認識を持っているか。また、とりあえずの全額負担で工事を進める岩手県の姿勢をどのように評価するか。

十一 岩手県とJR貨物間の協議を進めるため、政府はこの協議の調整を積極的に行うべきではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。