第169回国会(常会)
質問第三六号 防衛装備品の調達における取引停止処分に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十年二月十四日 大久保 勉
参議院議長 江田 五月 殿 防衛装備品の調達における取引停止処分に関する質問主意書 防衛装備品の調達において、株式会社富士インダストリーズ、株式会社山田洋行及び極東貿易株式会社(以下「当該三社」という。)との直接取引において、海外メーカーから当該三社に提出された見積書を改ざんすることによる過大請求事案が明らかになっている。防衛省によれば、当該三社に対して取引停止処分を行い、過去の取引における過大請求の全容を解明中との事である。 しかしながら、防衛省によれば、この取引停止処分の対象は当該三社のみに限られているとのことである。これは、当該三社からの防衛調達が迂回して行われることが可能であることを意味しており、取引停止処分の実質的な効果を損なっている疑いがある。 よって、以下の質問をする。 一 当該三社の連結対象となっている関連会社のうち、防衛省と契約実績のある会社は存在するか、明らかにされたい。存在すれば、過去五年間の契約を全て明らかにされたい。 二 当該三社の連結対象となっている関連会社のうち、当該三社の取引停止処分後に防衛省と契約を行った、もしくは今後行う予定のある会社は存在するか、明らかにされたい。 三 当該三社が輸入代理店となっている防衛調達品のうち、取引停止処分後に当該三社から別の代理店を経由して納入された、もしくは今後納入される予定のある防衛調達品は存在するか、明らかにされたい。 四 取引停止処分を真に実効あらしめるためには、当該三社から関連会社もしくは別の代理店等を通じた迂回調達を不可能としなければならない。そのためには、関連会社の取引停止処分や当該三社との間接契約の禁止等の手段が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。なお、これらの手段を取ることの出来ない理由があれば、併せて明らかにされたい。また、取引停止処分等の正式な手続きによらず、「実質的に見合わせる」等の手段を講じるに過ぎない場合は、政策における決定及び実施の過程が不透明であるとの指摘を免れ得ないと考える。これに対する政府の見解も示されたい。 五 金融機関に対する業務改善命令においては、業務改善命令の対象となる金融機関とほぼ同様の業務を行っている関連会社が存在する場合、業務改善命令の効力は直接の名宛金融機関のみならず関連会社にも及ぶことがある。これに比べ、防衛装備品の過大請求事案における取引停止処分においては、取引停止処分の対象となる当該三社とほぼ同様の業務を行っている関連会社が存在するにも関わらず、取引停止の効力は当該三社に限られて関連会社には及ばない。これは、金融機関に対する業務改善命令の場合と比べて均衡性を欠くとの意見があるが、政府の見解を示されたい。 六 当該三社及びその連結対象となっている関連会社が、取引停止処分もしくはそれに近い実質的手段による経営内容の悪化で破産等の事態に陥り、損害賠償請求に応じられなくなることが考えられる。前記の場合、政府はどのような求償手段を取ることを考えているか、明らかにされたい。 右質問する。 |