質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


第百六十八回国会答弁書第一一三号

内閣参質一六八第一一三号
  平成二十年一月十八日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員近藤正道君提出柏崎刈羽原発の安全性と設置審査における国及び東京電力の責任に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員近藤正道君提出柏崎刈羽原発の安全性と設置審査における国及び東京電力の責任に関する質問に対する答弁書

一の1について

 原子力安全・保安院においては、再評価した活断層による地震動は基準地震動S2を下回っており、東京電力株式会社の柏崎刈羽原子力発電所の安全上重要な施設の耐震安全性に問題がないことから、御指摘の報告について公表することは不要であるものと判断したが、地元の住民の断層に対する関心の高さ等にかんがみれば、公表することが適切であったと考える。

一の2について

 再評価した活断層による地震動は基準地震動S2を下回っており、柏崎刈羽原子力発電所の安全上重要な施設の耐震安全性に問題がないことから、原子力安全・保安院としては、東京電力株式会社が耐震補強対策を講じなかったことに関する判断に誤りはないと考える。

一の3について

 平成十四年から平成十六年までの間に行われた海底活断層の再評価結果によれば、全国の原子力発電所において基準地震動S2を上回るものはないことから、これらの原子力発電所の安全性は確保されているものと考えている。

一の4について

 平成十四年から平成十六年までの間に行われた海底活断層の再評価により、北陸電力株式会社の志賀原子力発電所、関西電力株式会社の美浜発電所及び日本原子力発電株式会社の敦賀発電所において、基準地震動S1を超える地震動をもたらすと評価される海底活断層が確認されている。

二について

 原子力発電所の建設に当たっては、発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針に基づき、様々な活断層調査等を踏まえ基準地震動が設定されるとともに、安全性に余裕をもって建設がなされており、柏崎刈羽原子力発電所についても、現在までの点検の結果、新潟県中越沖地震により安全上重要な施設について耐震安全性に問題がある異常がもたらされたことは確認されていない。
 また、現在、平成十八年九月に改訂された発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針に基づき、全国の原子力発電所について耐震安全性の評価が行われているところであり、その内容を厳格に確認するとともに、評価結果を公表してまいりたい。

三について

 原子力安全・保安院においては、柏崎刈羽原子力発電所の敷地及び刈羽村寺尾を含む敷地付近の西山丘陵地域において少なくとも第四紀後期における地殻構造運動に伴う褶曲及び断層活動はないと判断しているが、同発電所の敷地周辺地域の羽越活褶曲帯と呼ばれる活褶曲の発達した広い地域においては地殻構造運動がないとの判断はしておらず、「判断変更」との御指摘は当たらない。

四について

 原子力安全・保安院において、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会(以下「耐震設計小委員会」という。)等の意見を聴きつつ、柏崎刈羽原子力発電所の敷地及び敷地周辺の安田層や番神砂層の断層と地殻構造運動との関係についても評価を行うこととしている。

五について

 原子力安全・保安院において、耐震設計小委員会等の意見を聴きつつ、柏崎刈羽原子力発電所の敷地が含まれる西山丘陵における後期更新世以降に形成された段丘面と地殻構造運動との関係についても評価を行い、必要に応じ東京電力株式会社に追加調査を求めることとしている。

六について

 原子力安全・保安院において、耐震設計小委員会等の意見を聴きつつ、御指摘の地下探査の結果についても厳格に確認し、必要に応じ東京電力株式会社に追加調査を求めることとしている。

七について

 原子力安全・保安院において、耐震設計小委員会等の意見を聴きつつ、御指摘の陸域及び海域の第三紀層上限面の高さと地殻構造運動との関係についても評価を行うこととしている。

八について

 新潟県中越沖地震による原子炉施設を支持する地盤への影響及び建物の傾動の施設への影響については、現在、東京電力株式会社において調査が行われているところであり、原子力安全・保安院として、耐震設計小委員会等の意見を聴きつつ、今後、その調査の結果を厳正に評価していくこととしている。

九について

 柏崎刈羽原子力発電所敷地直下の断層については、現在、東京電力株式会社において調査が行われているところであり、原子力安全・保安院として、耐震設計小委員会等の意見を聴きつつ、今後、その調査の結果を厳正に評価するとともに、必要に応じ東京電力株式会社に追加調査を求めることとしている。

十について

 平成十九年十月二十四日付けで、株式会社新潟日報社から内閣府原子力安全委員会事務局長あてに、柏崎刈羽原子力発電所一号原子炉の設置許可に係る安全審査を行った原子力委員会原子炉安全専門審査会第百二十部会の議事録について開示請求があり、調査の結果、原子力安全委員会事務局においては、当該議事録を保有していないことが判明したため、同年十一月二十八日付けでその旨通知している。当該議事録を保有していないことに係る経緯及び当該議事録の関係機関等における保有の有無については、現在調査中である。

十一について

 東京電力株式会社においては、新潟県中越沖地震による原子炉建屋への影響を評価する観点から、地震による実際の揺れを詳細に把握するため、実際のコンクリート強度などに基づいた解析を実施しているものと承知しており、原子力安全・保安院としては、この手法自体が「誤った手法」であるとは考えていない。
 東京電力株式会社による評価手法等の妥当性については、原子力安全・保安院として、耐震設計小委員会等の意見を聴きつつ、厳格に確認してまいりたい。