質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一○六号

内閣参質一六八第一○六号
  平成二十年一月十一日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員蓮舫君提出年金記録問題への対応に必要な経費等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員蓮舫君提出年金記録問題への対応に必要な経費等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの経費百五十八億円の積算根拠については、封筒及びリーフレット等の印刷に要する経費が約十八億円、ねんきん特別便の郵送に要する経費が約二十四億円、基礎年金番号が付されていない又は基礎年金番号に統合されていない年金手帳番号に係る記録の内容解明に必要なシステム開発等に要する経費が約二億円、ねんきん特別便の作成及び発送準備業務等の委託に要する経費が約百十二億円、年金記録の整備のための作業を行う場所の賃借料が約一億円である。
 また、お尋ねのねんきん特別便の作成及び発送準備業務の委託、リーフレットの作成、ねんきん特別便送付用窓開封筒の作成並びにねんきん特別便返信用封筒の作成に関する入札状況については、次のとおりである。
(一)ねんきん特別便の作成及び発送準備業務の委託については、一般競争入札を行ったところ、八業者が応札し、トッパン・フォームズ株式会社及び共同印刷株式会社が落札している。
 落札額については、トッパン・フォームズ株式会社が作成予定件数百万件に対し一件当たり単価七十九・八円であり、共同印刷株式会社が作成予定件数百万件に対し一件当たり単価七十九・八円である。
(二)リーフレットの作成については、二百万部の作成について一般競争入札を行ったところ、十二業者が応札し、株式会社アイネットが八百三十八万円で落札している。
(三)ねんきん特別便送付用窓開封筒の作成については、百万部の作成について一般競争入札を二回行ったところ、一回目は十一業者が応札し、株式会社山口封筒店が二百六十七万円で落札している。また、二回目は十業者が応札し、株式会社イムラ封筒が二百六十一万円で落札している。
(四)ねんきん特別便返信用封筒の作成については、百万部の作成について一般競争入札を二回行ったところ、一回目は八業者が応札し、光文堂印刷株式会社が三百二十二万円で落札している。また、二回目は七業者が応札し、株式会社イムラ封筒が三百十五万円で落札している。
 お尋ねの契約に係る落札率については、契約金額と併せてこれを公にすることは、今後、他の契約の予定価格を類推されるおそれがあり、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第六号に規定する不開示情報にも該当すると考えられることから、お答えすることは差し控えたい。

一の2について

 お尋ねの経費十八億円の積算根拠については、本年一月二十一日から三月三十一日までの間、最大千二百席のねんきん特別便専用ダイヤルに係る電話相談業務(以下「電話相談業務」という。)の委託に要する経費を積算したものである。
 また、電話相談業務については、二百席の委託について総合評価落札方式による入札を二回行ったところ、一回目は三業者が応札し、株式会社KDDIエボルバが落札している。落札額は、電話相談業務について、一人時間当たり単価①管理者席二千九百円、②スーパーバイザー席二千三百円、③オペレーター席千八百五十円、④バックオフィスオペレータ席千七百五十円であり、また、設備使用料等について、一月当たり単価三千四十二万八千八百円である。
 また、二回目は二業者が応札し、株式会社もしもしホットラインが落札している。落札額は、電話相談業務について、一人時間当たり単価①管理者席五千五百円、②スーパーバイザー席三千二百円、③オペレーター席二千三百九十円、④バックオフィスオペレータ席二千八十円であり、また、設備使用料等について、一月当たり単価千九百十四万円である。
 落札率については、一の1についてで述べた理由から、お答えすることは差し控えたい。
 電話相談業務の委託については、総合評価落札方式による入札を行ったが、お尋ねの金額以外に重視した点は、要員の管理、品質の管理、個人情報の管理が適切になされるか等であり、これについては公募時に総合評価基準書において示したところである。

一の3について

 お尋ねの経費二十五億円の積算根拠については、マイクロフィルム化されている旧台帳データ(以下「旧台帳データ」という。)の印字出力等に係る業務の委託に要する経費が約二億円、入力対象者リストへの転記業務等に係る労働者派遣等に要する経費が約十一億円、旧台帳データの入力対象者リストからの入力業務の委託に要する経費が約三億円、疑同一人記録リストに基づく資格記録等の入力業務の委託等に要する経費が約八億円、入力対象者リストへの転記業務等を行うための作業を行う場所の賃借料が約一億円である。
 また、旧台帳データの電子化に係る業務の委託に関する入札状況については、次のとおりである。
(一)旧台帳データ入力対象者リスト作成及びデータ印字等の業務の委託について、一般競争入札を行ったところ、六業者が応札し、株式会社コタニが作成予定件数千七百三十万件に対し一件当たり単価○・二二円で落札している。
(二)旧台帳データの電子化及び印字出力等業務の委託について、一般競争入札を行ったところ、五業者が応札し、株式会社マイクロフィッシュが、委託予定件数千二百万件の出力業務について、出力一件当たり単価十円で落札し、また、旧台帳データからの再出力業務について、一回当たり五万件以上の出力については一件当たり単価十円で、一回当たり五万件未満の出力については一件当たり単価十二円で落札している。
(三)入力対象者リストへの転記業務等に係る労働者派遣について、五つの期間に係る入札を行っている。
① 最初の期間については、五十名の派遣について一般競争入札を四回行ったところ、いずれの場合も八業者が応札し、富士ソフトサービスビューロ株式会社が一人時間当たり単価千三百十七円で、ヒューマンリソシア株式会社が一人時間当たり単価千三百八円で、キャリアリンク株式会社が一人時間当たり単価千三百円で、アデコ株式会社が一人時間当たり単価千二百九十八円で落札している。
② 二回目の期間については、五十名の派遣について一般競争入札を二回行ったところ、いずれの場合も四業者が応札し、富士ソフトサービスビューロ株式会社が一人時間当たり単価千二百七十八円で、キャリアリンク株式会社が一人時間当たり単価千二百四十六円で落札している。
③ 三回目の期間については、千百七十六人の派遣について一般競争入札を行ったところ、十二業者が応札し、株式会社KDDIエボルバが四十二名の派遣について一人時間当たり単価千三百九十円で、キャリアリンク株式会社が四百二十名の派遣について一人時間当たり単価千四百六十二円で、テンブロス株式会社が四十二名の派遣について一人時間当たり単価千四百七十六円で、富士ソフトサービスビューロ株式会社が四十二名の派遣について一人時間当たり単価千四百八十円で落札している。
④ 四回目の期間については、七百十四人の派遣について一般競争入札を行ったところ、七業者が応札し、キャリアリンク株式会社が百六十八名の派遣について一人時間当たり単価千四百八十円で、富士ソフトサービスビューロ株式会社が四十二名の派遣について一人時間当たり単価千四百八十円で、ヒューマンリソシア株式会社が百二十六名の派遣について一人時間当たり単価千四百九十九円で、アソート株式会社が四十二名の派遣について一人時間当たり単価千五百四十九円で、株式会社フルキャストが百六十八名の派遣について一人時間当たり単価千五百八十円で落札している。
⑤ 五回目の期間については、二百十人の派遣について一般競争入札を行ったところ、八業者が応札し、富士ソフトサービスビューロ株式会社が四十二名の派遣について一人時間当たり単価千四百六十円で、アデコ株式会社が四十二名の派遣について一人時間当たり単価千五百二十円で、キャリアリンク株式会社が百二十六名の派遣について一人時間当たり単価千五百二十八円で落札している。
(四)入力対象者リストへの転記業務等に係る備品の賃借について、三つの期間に係る入札を行っている。
① 最初の期間については、折りたたみテーブル百五十台及び折りたたみ椅子六百脚の賃借について一般競争入札を一回行い、また、ロッカー三十台の賃借について一般競争入札を四回行ったところ、いずれの場合も二業者が応札した。また、折りたたみテーブル六百台及びOAチェア千二百脚の賃借について一般競争入札を六回に分けて行ったところ、いずれの場合も一業者が応札したが、これら十一回の入札については、落札者がなかった。
 このため、折りたたみテーブル百五十台及び折りたたみ椅子六百脚については一件の随意契約、折りたたみテーブル三百五台及びOAチェア六百十脚については三件の随意契約、ロッカー六十台については二件の随意契約を、株式会社カラサワと締結している。
② 二回目の期間については、折りたたみテーブル二百四十一台及びOAチェア四百八十二脚並びにロッカー五十台の賃借についてそれぞれ一般競争入札を行ったところ、一業者が応札し、株式会社カラサワが、折りたたみテーブル及びOAチェアについて千五十四万円で、ロッカーについて二百十八万円で落札している。
③ 三回目の期間については、折りたたみテーブル百五台、OAチェア二百十脚及びロッカー二十一台の賃借について一般競争入札を行ったところ、一業者が応札し、株式会社カラサワが五百四十八万三千百円で落札している。
(五)旧台帳データ入力業務の委託について、一般競争入札を行ったところ、二十業者が応札し、東京都ビジネスサービス株式会社が委託予定件数三百五十万件に対し一件当たり単価六・二円で、株式会社電算システムが委託予定件数百万件に対し一件当たり単価七・六円で、株式会社東計電算が委託予定件数二百五十万件に対し一件当たり単価九・四九円で、東京ソフト株式会社が委託予定件数五百万件に対し一件当たり単価九・八円で、株式会社ケーアイ・システムズが委託予定件数百万件に対し一件当たり単価十・五円で、株式会社リビング・テレマーケティングが委託予定件数百万件に対し一件当たり単価十二・五円で、シティコンピュータ株式会社が委託予定件数六十六万件に対し一件当たり単価十二・八円で落札している。
(六)旧台帳データの漢字氏名入力対象者リストへの転記業務等の実施に伴う事務室の賃借について、契約の性質上、入札を行わずに株式会社東京ビッグサイトと随意契約を締結しており、契約金額は一億四百九十二万四千四百八十四円である。
 落札率については、一の1についてで述べた理由から、お答えすることは差し控えたい。

一の4について

 お尋ねの四十四億円については、平成十九年六月以降に年金記録問題に係る対策として実施してきた電話相談業務の委託経費、年金記録の名寄せを実施するためのシステムプログラムの開発経費等を積算したものであり、これら経費の財源を確保するため、平成十九年度予算の節約を行うとともに、用途廃止施設を売却する作業を進めているところである。

二の1について

 お尋ねの経費百六十二億円の積算根拠については、封筒及びリーフレット等の印刷に要する経費が約一億円、ねんきん特別便の郵送に要する経費が約七十六億円、ねんきん特別便を送付するために必要なシステム開発等に要する経費が約四億円、ねんきん特別便の作成及び発送準備業務等の委託に要する経費が約七十五億円、年金記録の整備のための作業を行う場所の賃借料が約六億円である。

二の2について

 お尋ねの経費五十八億円については、本年四月一日から十一月三十日までの間、最大千席のねんきん特別便専用ダイヤルに係る電話相談業務の委託に要する経費を積算したものである。

二の3について

 お尋ねの経費七十一億円の積算根拠については、国民年金の特殊台帳等のマイクロフィルムのスキャナー出力等に要する経費が約十二億円、国民年金の特殊台帳の記録と社会保険オンラインシステムにおいて管理する記録との突合せの作業に要する経費が約四十三億円、当該作業を行う場所の賃借料が約四億円、市町村が保有する国民年金の被保険者名簿及び厚生年金保険の被保険者名簿等の記録と社会保険オンラインシステムにおいて管理する記録との突合せのためのシステム開発経費が約九億円、市町村が保有する磁気媒体の国民年金被保険者名簿の紙出力のためのシステム改修経費が約二億円である。

三の1及び2について

 政府としては、年金記録問題への対応については、平成十九年七月五日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会において取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」及び同年八月二十三日に厚生労働省において取りまとめた「年金記録適正化実施工程表」に基づいて行ってきているところであるが、これに要する費用については、平成十九年度予算で対応したほか、平成十九年度補正予算案及び平成二十年度予算案に計上したところである。これらについては、国会における質疑において平成十九年度予算の執行状況について説明を行ったほか、平成十九年度補正予算案及び平成二十年度予算案の概要についてホームページ等で公表を行ってきているところであり、今後も、ホームページ等を通じ必要な情報の提供に努めるとともに、国会における審議等を通じて国民の理解を得たいと考えている。

三の3について

 政府としては、年金記録問題への対応に必要な経費については、予算の節約等に努めるとともに、平成十九年度補正予算案及び平成二十年度予算案においても専門家の意見聴取及び類似業務等の実績などを踏まえ十分に精査を行い、妥当な額を計上しているところである。

三の4について

 政府としては、総務省年金記録問題検証委員会報告書における指摘を踏まえると、社会保険庁における業務管理等に関する様々な問題に対する組織的な対策が長期間にわたって執られてこなかったことが、年金記録問題の原因であると考えており、この問題については、これまで国民の皆様に多大な不安とご迷惑をおかけしたことについて、政府広報やホームページ等においておわびしているところであるが、平成十九年度補正予算案及び平成二十年度予算案に計上した経費については、年金記録問題に迅速に対応するために必要なものであると考える。
 また、御指摘の責任者の処分については、特定の時期の特定の個人の責任を具体的に明らかにすることが困難であり、特定の個人を処分することは考えていない。