質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一○五号

内閣参質一六八第一○五号
  平成二十年一月十一日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福島みずほ君提出「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択とアイヌ民族の法的地位に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択とアイヌ民族の法的地位に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の市民的及び政治的権利に関する国際規約第四十条1(b)に基づく第三回政府報告においては、アイヌの人々が、独自の宗教及び言語を有し、文化の独自性を保持していること等から、同規約第二十七条にいう「少数民族」であると判断した経緯がある。

二について

 「先住民族」については、現在のところ、国際的に確立した定義がなく、御指摘の「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(以下「宣言」という。)においても、「先住民族」の定義についての記述はないことから、アイヌの人々が宣言にいう「先住民族」であるかにつき判断することは困難である。

三について

 お尋ねについては、平成七年三月に内閣官房長官の下に設置された「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」(以下「有識者懇談会」という。)における審議の過程において、「民族」をめぐる国際的な動きについて、波多野里望学習院大学教授(当時)からのヒアリングを行ったことがある。

四及び五について

 アイヌの人々が、アイヌ語や独自の風俗習慣を始めとする固有の文化を発展させてきた民族であり、いわゆる和人との関係において、日本列島北部周辺、取り分け北海道に先住していたことについては、歴史的事実として認識しているが、「先住民族」については、現在のところ、国際的に確立した定義がなく、宣言においても、「先住民族」の定義についての記述はないことから、アイヌの人々が宣言にいう「先住民族」であるかについては、お答えすることは困難である。
 政府は、北海道が実施している「アイヌの人たちの生活向上に関する推進方策」に協力している。また、有識者懇談会において具体的施策の在り方等について総合的な検討が行われ、平成八年四月に報告書が提出され、この報告書の提言を受け、内閣が提出し、成立したアイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成九年法律第五十二号)に基づき、国土交通省及び文部科学省においてアイヌ文化振興等に関する施策を推進しているところであり、政府としては、このような施策への協力又は施策の推進を着実に実施していくことが肝要と考えている。