質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七三号

内閣参質一六八第七三号
  平成十九年十二月十一日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員小池晃君提出圏央道高尾山トンネル掘削に伴う国定公園への影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小池晃君提出圏央道高尾山トンネル掘削に伴う国定公園への影響に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の条件のうち、地下水位の状況報告については、これまでに平成十八年二月十六日、同年四月二十六日、同年七月十九日、同年十月十九日、平成十九年一月三十日、同年四月二十四日、同年七月三十一日、同年十月二十二日の計八回にわたり、国土交通省関東地方整備局相武国道事務所長が東京都多摩環境事務所長に、高尾山トンネルの工事の進捗に伴う地下水位の状況を報告しているところである。
 トンネルの坑内への地下水の流入防止策については、高尾山トンネルの必要な区間においては、トンネルの周辺の岩盤に止水剤の注入等を行う覆工止水構造を採用したところである。
 止水剤の周辺の水域や地表面への流出防止については、止水剤の注入圧力を岩盤の性質に合わせて調整することにより、止水剤の流出がないよう配慮することとしている。

二及び三について

 お尋ねの「深部の地下水位観測」については、高尾山トンネルの施工予定地付近に設置していた地山の深部の地下水位の観測孔二箇所において、平成七年五月から平成十九年十一月までの間及び平成八年六月から平成十九年十一月までの間、それぞれ観測を実施した。この二箇所の観測孔については、トンネルの施工による影響を受け観測が不可能となるため、平成十九年十一月二十八日にそれぞれ埋め戻したところである。
 こうしたことから、現在は、地山の深部における地下水位については、観測を行っていないが、今後、トンネルの施工に伴い必要な地質データを把握するために実施するボーリング調査と併せて、観測を行うことについて検討したい。
 なお、トンネルの施工による影響を受けない九箇所の地下水位の観測孔においては、今後とも継続的に観測を行うこととしている。

四について

 高尾山トンネルの施工に当たっては、高尾山の水環境の保全に最大限配慮することが必要との考えから、工事に先立ち、二箇所の水平ボーリング調査と十六箇所の鉛直ボーリング調査を実施するとともに、平成四年二月七日より降水量、地下水位、河川流量等の調査を実施するなど詳細なデータを収集し、このデータを基に、トンネル工学、水文学、地質学等の専門家からなるトンネル技術検討委員会(以下「委員会」という。)で行われた検討を踏まえ、高尾山トンネルについては地下水への影響を最小限に抑制する覆工止水構造を採用することを決定したところである。
 また、平成十九年四月十八日の委員会における検討を踏まえ、トンネルの掘削による地下水への影響をより小さくするために掘削と覆工の時間間隔を八王子城跡トンネルの施工時よりも短くするなど、施工方法を改良することとしている。
 このように、現時点において、高尾山の水環境保全対策については必要な対策が講じられていると考えており、工事の中止は考えていない。
 今後とも慎重に研究と検討を進め、高尾山トンネルの施工に当たっては環境の保全に万全を期してまいりたい。