質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六四号

内閣参質一六八第六四号
  平成十九年十二月四日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員石井一君提出病腎移植に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石井一君提出病腎移植に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の基本方針が何を指すのか必ずしも明らかではないが、御指摘の調査委員会においては、五年以上前の事例についても調査しているものと承知している。

二及び三について

 厚生労働省としては、病腎移植については、関係学会から、その医学的、倫理的妥当性に対する否定的見解が示されたこと、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」(平成九年十月八日付け健医発第千三百二十九号厚生省保健医療局長通知。以下「運用指針」という。)を改正して迅速に対応する必要がある旨の指摘があったこと等を踏まえ、速やかに対応方針を示すこととし、平成十九年七月十二日の運用指針の改正により、現時点では医学的に妥当性がないので、臨床研究として行う以外は、これを行ってはならないこととしたものである。

四について

 厚生労働省としては、「「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正に関する意見募集の結果について」においては、御指摘の論文の論旨を引用してはおらず、提出された意見に対して回答する際の参考として、関係学会声明の前提とされた御指摘の論文のデータ及び市立宇和島病院の調査委員会の意見書の抜粋を掲載したものである。

五について

 厚生労働省としては、御指摘の検証及び再調査は行っていないが、海外における病腎移植の調査研究の状況等については、本年度、厚生労働科学研究事業において調査研究が実施されているところである。

六について

 お尋ねについては、病腎移植は、現時点では医学的妥当性がない治療方法であるが、将来、臨床研究等を通じて、有効性及び安全性が確立し、医学的に妥当となる可能性が残されているからである。なお、病腎移植を臨床研究として実施する場合は、運用指針、「臨床研究に関する倫理指針」(平成十六年厚生労働省告示第四百五十九号。以下「倫理指針」という。)を遵守すること等が前提となるものである。

七について

 厚生労働省としては、臨床研究として行われる病腎移植については、運用指針、倫理指針等に基づき、研究機関等において必要な体制を整えた上で実施されるべきものであると考えており、その参考となるよう、五についてで述べた調査研究の成果について情報提供を行うこととしている。
 なお、厚生労働省としては、臓器移植を希望する患者の数に比べ臓器提供の数が限られている現状においては、まずは臓器移植に関する啓発普及や提供意思の表示方法の周知等を図ることが重要と考えており、これらについて積極的に取り組んでいるところである。

八について

 厚生労働省としては、病腎移植については、現時点では医学的に妥当性がないので、運用指針において、臨床研究として行う以外はこれを行ってはならず、また、当該臨床研究を行う者は倫理指針に規定する事項を遵守すべきであることとしており、患者は当該臨床研究の被験者としてならば、これを受けることができるものである。