質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六〇号

内閣参質一六八第六〇号
  平成十九年十一月二十七日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の「極低温電界放射型透過電子顕微鏡」とは、「TF二十」のことを指すものと思われるが、「TF二十」については、財務省としても、参議院議員谷博之君提出独立行政法人産業技術総合研究所と特許特別会計に関する質問に対する答弁書(平成十九年十一月二日内閣参質一六八第三四号。以下「三四号答弁書」という。)の二についてでお答えしたとおりであると認識している。

一の2について

 御指摘の「極低温電界放射型透過電子顕微鏡」とは、「TF二十」のことを指すものと思われるが、独立行政法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)によれば、凍結による保存技術については、「TF二十」を用いて様々な条件により凍結された生物の微細構造を観察することを通じて、急速に凍結を行う方法が従来の方法の中で最も細胞に与える影響が少ないことを検証したとのことである。

一の3について

 産総研によれば、急速に凍結を行う方法が従来の方法の中で最も細胞に与える影響が少ないことを寄託者に対して情報提供することを通じ、寄託者が凍結保存の条件を選定するに当たって必要な検証等を行う負担が軽減されたことにより、寄託者の利便性の向上やコストの削減等に寄与したとのことである。

二の1について

 御指摘の「極低温電界放射型透過電子顕微鏡」とは、「TF二十」のことを指すものと思われるが、三四号答弁書の三についてでお答えしたとおり、産総研によれば、特許生物寄託業務に必要となる保存技術の高度化等を目的として「TF二十」を賃借した結果、当該保存技術に係る研究成果が創出され、その高度化に資するものとなったとのことであることから、現時点において、経済産業省としては、「TF二十」は特許生物寄託制度のために使われたものと認識している。

二の2について

 御指摘の「極低温電界放射型透過電子顕微鏡」とは、「TF二十」のことを指すものと思われるが、産総研によれば、「TF二十」による精密な測定・観察を行うためには、振動を極力低減することが必要であることから、「TF二十」は、旧工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センター(以下「旧工技院特許微生物寄託センター」という。)のある建物内ではなく、旧工技院特許微生物寄託センターに隣接する高い防振機能が整備された研究棟である「六の十棟」の〇一一二四号室に設置され、現在も同じ場所で運用されているとのことである。
 産総研によれば、平成七年度に現在の「六の十棟」に当たる旧工業技術院生命工学工業技術研究所(以下「旧生命研」という。)生物情報研究棟を建設するに当たって、その一階に、将来の研究の進展に備え、電子顕微鏡による超精密な測定を行うため、研究所内外の振動から観測装置類を守る高度の防振性能を持つ「電顕ピット」と呼ばれる建物システムを整備したとのことであるが、当該研究棟の設計段階において、旧工業技術院として、御指摘の「極低温電界放射型透過電子顕微鏡」の導入を想定していたという事実はないとのことである。
 また、産総研によれば、「一般会計で当該機器の導入を目論んだが不備に終わったため特許特別会計の流用を図った」との認識はないとのことである。

二の3について

 産総研によれば、「TF二十」が設置された当時、様々な条件により凍結された生物の微細構造の観察を国産の汎用機器で行うことは困難であったとのことであり、また、「TF二十」による精密な測定・観察を行うためには、振動を極力低減することが必要であり、通常仕様の研究室に耐震台を置くことでは不十分であるとのことであることから、現時点において、経済産業省としては、「国産の汎用機器で十分であり、それは特許生物寄託センター内にある通常仕様の研究室に耐震台を置くことで十分である」との御指摘は当たらないものと考えている。

三について

 産総研によれば、平成十三年一月の経済産業省の旧産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所の特許微生物寄託センター運営委員会において、試料室をヘリウムにより冷却できる透過型電子顕微鏡の購入について検討がなされたとのことである。

四について

 御指摘の「極低温電界放射型透過電子顕微鏡」とは、「TF二十」のことを指すものと思われるが、経済産業省において、御指摘の者らに確認したところ、「TF二十」に係る予算は、特許寄託業務に必要となる保存技術の高度化等を目的として要求したと記憶しているとのことである。また、産総研によれば、特許生物寄託業務に必要となる保存技術の高度化等を目的として「TF二十」を賃借した結果、当該保存技術に係る研究成果が創出され、その高度化に資するものとなったとのことであることから、現時点において、経済産業省としては、「TF二十」は特許生物寄託制度のために使われたものと認識している。

五について

 経済産業省において日本エフイー・アイ株式会社に聞いたところ、御指摘の「覚書の類」を取り交わした事実はないとのことである。

六について

 御指摘のメモは、平成十年当時の旧生命研における業務に関する議論の一環として、御指摘の両名による連名の文書として残されたものとして承知している。なお、産総研によれば、特許特別会計からの研究費流用の有無についても、第三者から構成される調査委員会において事実関係を調査するとのことであり、その結果を踏まえて適切に対処してまいりたい。

七について

 産総研によれば、御指摘の画像処理装置は、産総研が設立される以前においては、旧工技院特許微生物寄託センターの研究者によって管理されていたものであると思われるとのことであり、現時点において、当該画像処理装置の購入が「特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用」であるとは認識していない。
 産総研によれば、御指摘の高性能顕微鏡システムは、産総研が設立される以前においては、旧工技院特許微生物寄託センターの研究者によって管理されていたものであると思われるとのことであり、現時点において、当該高性能顕微鏡システムの購入が「特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用」であるとは認識していない。
 産総研によれば、御指摘の超低温槽は、旧生命研生体情報部が行う研究を通じて、動物細胞の保存技術の高度化に資するものとなったとのことであるから、現時点において、当該超低温槽の購入が「特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用」であるとは認識していない。
 産総研によれば、御指摘の高速液体クロマトグラフは、旧生命研生体情報部が行う研究を通じて、動物細胞の保存技術の高度化に資するものとなったとのことであるから、現時点において、当該高速液体クロマトグラフの購入が「特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用」であるとは認識していない。
 産総研によれば、御指摘の「一九九〇年十二月十四日に四百三十四万六千六百円で購入した顕微鏡」は、旧生命研生体情報部が行う研究を通じて、動物細胞の保存技術の高度化に資するものとなったとのことであるから、現時点において、当該顕微鏡の購入が「特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用」であるとは認識していない。
 産総研によれば、御指摘の超遠心分離器は、旧生命研生体情報部が行う研究を通じて、動物細胞の保存技術の高度化に資するものとなったとのことであるから、現時点において、当該超遠心分離器の購入が「特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用」であるとは認識していない。
 御指摘の高速流体クロマトグラフは、高速液体クロマトグラフを指すものと思われるが、産総研によれば、当該高速液体クロマトグラフは、旧生命研生体情報部が行う研究を通じて、動物細胞の保存技術の高度化に資するものとなったとのことであるから、現時点において、当該高速液体クロマトグラフの購入が「特許特別会計の無駄遣い、あるいは流用」であるとは認識していない。

八について

 産総研によれば、旧工業技術院時代において、特許特別会計からの予算で購入したものの、旧工技院特許微生物寄託センターの外に設置され、かつ、旧工業技術院の他の部署に所属する者が管理責任者となって主に使用していた設備及び機材は存在せず、また、産総研が設立された以降において、特許特別会計からの予算で購入したものの、産総研特許生物寄託センターの外に設置され、かつ、産総研の他の部署に所属する者が管理責任者となって主に使用している設備及び機材は存在しないとのことである。