質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四五号

内閣参質一六八第四五号
  平成十九年十一月九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員松野信夫君提出水俣病問題における被害者救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松野信夫君提出水俣病問題における被害者救済に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十八年九月十九日に「水俣病問題に係る懇談会」(以下「懇談会」という。)において取りまとめられた提言書(以下「提言書」という。)において、「本懇談会の提言の実現は、決して容易ではなく、また、時間がかかるものも含まれている。」と記載されているとおり、提言書に盛り込まれている事項の中には、その実現が容易でないものや実現までに時間を要するものも含まれており、御指摘の提言事項を含め、いまだに実現していないものもあるが、他方、水俣病被害者等福祉対策推進事業の実施等、既に実現しているものもある。今後とも様々な関係者の意見を踏まえ、提言書を踏まえた取組について検討してまいりたい。

二及び三について

 環境省としては、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号。以下「公健法」という。)における水俣病の認定要件である「後天性水俣病の判断条件について」(昭和五十二年七月一日付け環保業第二百六十二号環境庁企画調整局環境保健部長通知。以下「判断条件」という。)は、水俣病に関係する医学の各分野の専門家による検討の成果に基づいて取りまとめられたものであって、妥当なものと認識しており、平成十六年十月十五日最高裁判所第二小法廷判決においても判断条件の合理性について何ら判断が加えられていないこと等から、判断条件を再検討することは考えていない。このため、懇談会においても、環境大臣から、判断条件の問題については「御提言いただいても行政として対応できないこともあることを御理解いただきたい」との説明を行っており、環境省としては、現時点においても、こうした対応は適切であると考えている。

四について

 環境省としては、昭和六十年に設置された「水俣病の判断条件に関する医学専門家会議」及び平成三年に中央公害対策審議会環境保健部会に設置された「水俣病問題専門委員会」において判断条件は妥当との結論が得られていることなどから、判断条件については妥当なものと認識しており、現時点では、改めて専門家の会議を開催すべきであるとは考えていない。

五について

 水俣病総合対策実施要領(平成八年一月十二日付け環保企第十四号企画調整局環境保健部長通知別紙)に規定する保健手帳の交付については、公健法第四条第二項の規定による水俣病に係る認定の申請をしている者や水俣病に関して損害賠償を求める訴訟を提起している者等をその対象としないこととしたものであるが、環境省としては、認定の申請や訴訟の提起などの方策を自ら選択する者については、その選択をしている間はそちらの方策を通じての解決を図ることとする趣旨でこれらの要件を設けたものであり、「裁判を受ける権利の侵害」に当たるとは考えていない。

六について

 環境省としては、平成十九年度から、水俣病発生地域の離島等において、神経症状の緩和並びに運動障害等の改善及び維持のためのリハビリテーション等を行っているところであり、引き続きこれらの離島に配慮した取組を進めていきたい。