質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一六八第一六号
  平成十九年十月十六日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員犬塚直史君提出OEFによる武力行使の国際法上の根拠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員犬塚直史君提出OEFによる武力行使の国際法上の根拠に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 アメリカ合衆国(以下「米国」という。)及び英国は、平成十三年十月七日に、国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)第五十一条に従って、同年九月十一日に米国において発生したテロリストによる攻撃を受けて個別的又は集団的自衛権を行使した旨を国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)に報告していると承知しており、お尋ねの米国及び英国の行動は、国連憲章第五十一条の個別的又は集団的自衛権を行使するものとして開始されたものと考えている。

三について

 お尋ねの「事務総長報告」が何を指すのか必ずしも明らかでないが、平成十三年十月八日、アナン国際連合事務総長(当時)は、「安保理は、国連憲章に従って、個別的又は集団的自衛の固有の権利を再確認している。関係国は、この文脈で、アフガニスタンにおける現在の軍事行動を行っている。」旨述べたと承知している。

四、六及び八から十二までについて

 一についてで述べたとおり、「不朽の自由」作戦下の米国等の活動は、国連憲章第五十一条の個別的又は集団的自衛権を行使するものとして開始されたものと考えている。
 平成十三年十二月五日のボン合意を受けて同月二十二日にアフガニスタンに暫定政府が成立した後に同国の領域内で行われている「不朽の自由」作戦下の米国等の活動は、国際法上は、基本的には、領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて、同国の警察当局等の機関がその任務の一環として行うべき治安の回復及び維持のための活動の一部を補完的に行っているものと観念される。このように観念される活動は、国際法上は、国連憲章第二条第四項で禁止されている「武力の行使」には当たらず、したがって、自衛権の行使に当たること又は安保理の決定に基づくことを理由とする違法性の阻却を論ずる必要はないと考えている。

五について

 国際治安支援部隊(以下「ISAF」という。)は、安保理決議第千三百八十六号等に基づき、アフガニスタン国内の治安維持について同国政府を支援することを任務として活動しているものと承知している。このISAFの設立が、一についてで述べた米国及び英国の行動との関係で、国連憲章第五十一条にいう安保理による「国際の平和及び安全の維持に必要な措置」に当たるものと解されているとは理解していない。

七について

 国際連合アフガニスタン支援ミッション(以下「UNAMA」という。)は、安保理決議第千四百一号等に基づき、和平プロセスのための政治的戦略的助言の提案、人道・復興分野の活動の調整等を任務として活動しているものと承知している。このUNAMAの設立が、一についてで述べた米国及び英国の行動との関係で、国連憲章第五十一条にいう安保理による「国際の平和及び安全の維持に必要な措置」に当たるものと解されているとは理解していない。