質問主意書

第168回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一六八第一号
  平成十九年九月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員白眞勲君提出テロ特措法の運用及び目的に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員白眞勲君提出テロ特措法の運用及び目的に関する質問に対する答弁書

一の1について

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号。以下「テロ対策特措法」という。)に基づく協力支援活動として海上自衛隊の部隊が艦船用燃料等の補給又は輸送を行ったアメリカ合衆国その他の外国の軍隊その他これに類する組織(以下「諸外国の軍隊等」という。)の艦船の種類は、駆逐艦、巡洋艦、輸送艦、補給艦、フリゲート艦、揚陸艦等である。
 また、お尋ねの画像又は映像については、保有しているものもある。

一の2について

 航空母艦に対する補給は行っていない。

一の3について

 我が国がテロ対策特措法に基づく協力支援活動として補給を行った諸外国の軍隊等の艦船がその補給を受けた後に従事する活動の内容は、我が国がテロ対策特措法に基づいて補給を行った趣旨を踏まえて各国が決定するものであり、政府としてはその詳細を承知する立場にないが、我が国がテロ対策特措法に基づく協力支援活動として行う補給は、テロ対策特措法に基づくものであることを当該補給の対象国との間の交換公文に明記するとともに、当該対象国との協議の場においてテロ対策特措法の趣旨について説明した上で、当該対象国の艦船への補給の都度、当該艦船がテロ対策特措法に規定する諸外国の軍隊等の活動に従事していることを確認した後に行っているものであり、我が国が補給した艦船用燃料等については、テロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用されているものと認識している。

二の1の(一)について

 テロ対策特措法に基づく対応措置(以下「対応措置」という。)は、テロ対策特措法第二条第三項の規定により、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)及びその上空並びに外国の領域(当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限る。)において実施するものとされていることを除くほかは、テロ対策特措法に、対応措置を実施する区域を地理的に限定する規定は設けられていない。

二の1の(二)について

 対応措置は平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃(以下「テロ攻撃」という。)によってもたらされている脅威を除去するための諸外国の軍隊等の活動に対する協力支援等を内容とする措置であるが、テロ対策特措法にいう「国際的なテロリズム」は、地理的な限定を付して規定されているものではない。

二の1の(三)について

 ペルシャ湾については、テロリスト及び関連物資の拡散や流入の阻止を目的としてインド洋(ペルシャ湾を含む。以下同じ。)で海上阻止活動を行っている諸外国の軍隊等に対し艦船用燃料等の補給又は輸送を行うために必要であるものとして、これらの活動を実施する区域に含めているものである。
 また、お尋ねの「国際的テロリズムが存在している」の意味が必ずしも明らかでないが、例えば、サウジアラビア王国では、平成十六年十二月にアル・カーイダの関与が疑われるテロリズムが発生したものと承知している。

二の1の(四)について

 現在イラクで行われているテロリズムが御指摘の国際的なテロリズムに当たるか否かについては個別具体的な状況によるものであり、一概にお答えすることは困難である。

二の2について

 「不朽の自由」作戦下で行われている活動は、それが行われた時期、場所等により実態は様々であるが、テロ攻撃によってもたらされている脅威を除去するための活動であると承知している。
 また、お尋ねの「関わり」の意味が必ずしも明らかでないが、イラクにおいて、米軍は、イラクの治安維持のための活動のほか、医療施設・学校等の公共施設の再建といったインフラ整備等の活動を行っていると承知しており、また、我が国は、サマーワにおいて、医療、給水、公共施設の復旧・整備等の活動を行っていた。
 さらに、一の3についてでお答えしたとおり、我が国が補給した艦船用燃料等については、テロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用されているものと認識している。

二の3について

 一の3についてでお答えしたとおり、諸外国の軍隊等の艦船が我が国から補給を受けた後に従事した活動の詳細については、政府としては承知する立場にないが、いずれにせよ、お尋ねのように、ペルシャ湾内で我が国から補給を受けた諸外国の軍隊等の艦船が同湾内で活動することがあったとしても、我が国が補給した艦船用燃料等がテロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用される限り、何ら問題はない。

二の4について

 我が国がテロ対策特措法に基づく協力支援活動として諸外国の軍隊等に対して行う補給及び輸送に係る具体的な活動地点については、これを明らかにした場合、自衛隊及びこれら諸外国の軍隊等の部隊の運用に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

二の5について

 テロリスト及び関連物資の拡散や流入の阻止を目的として各国がインド洋で実施している海上阻止活動は、テロの脅威が世界各地に拡散することを抑止する効果を上げていると認識している。
 海上阻止活動を実施している諸外国の軍隊等の艦船はインド洋を航行する不審船舶等に対して無線照会や乗船検査を行っているが、これまでの約六年に及ぶ活動の結果、インド洋におけるテロリスト等の移動は大幅に減少し、当該海域の平和と安全の維持に大きく貢献するなどの成果を上げている。お尋ねのテロリストの捕捉人数等の具体的成果については、海上阻止活動を実施している諸外国は、個々の作戦の円滑な遂行や活動に参加している者の安全を確保するため、詳細な内容の公表を行っていないが、例えば、最近三年間における不審船舶等に対する無線照会数は、平成十六年が約四万一千回、平成十七年が約一万四千回、平成十八年が約九千回と、逐次減少してきている。これは、海上阻止活動がより効率的に実施されるようになってきたこともあるが、一方で、当該海域におけるアル・カーイダ等の移動が減少したことの証左でもあると考えられる。テロリストにインド洋を自由にさせないという国際社会のメッセージは、海上阻止活動を通じて、テロリスト等に伝わっており、海上阻止活動は十分な抑止効果を発揮している。
 我が国がテロ対策特措法に基づき実施している海上自衛隊の部隊による給油支援は、諸外国の軍隊等が海上阻止活動を行うための不可欠の基盤であるとともに、同活動に参加している諸外国の軍隊等の作戦効率の向上に大きく寄与しており、海上阻止活動が前記のような成果を上げるに当たり、大きく貢献している。

二の6について

 特定の補給に係る対象艦船の名称及びその所属国については、これを明らかにした場合、当該国との信頼関係を損なうおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

三の1について

 特定の補給に係る内容については、これを明らかにした場合、当該国との信頼関係を損なうおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

三の2について

 政府としては、お尋ねのウェブサイトについて関知するものではないが、あえてお答えすれば、その内容からみて、お尋ねの「連合(国、軍)」は、二の5についてで述べた海上阻止活動を実施している諸外国及びその軍隊を指すのではないかと考えられる。

三の3について

 お尋ねの「シュレスヴィヒ・ホルシュタイン」の活動については、政府としてその詳細を承知する立場にない。

四について

 お尋ねのパンフレットについては七千五百部を、DVDについては三千百枚をそれぞれ発行することとしている。これらのうちパンフレット七千五百部及びDVD二千枚は社団法人時事画報社において作成の上、納入させることとしており、その契約金額は四百七十二万五千円である。また、DVD一千百枚は防衛省において複製したものである。なお、これまでの発行数量はパンフレット五千五百部、DVD一千百枚である。