質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一二号

諫早湾干拓調整池等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年一月十五日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   諫早湾干拓調整池等に関する質問主意書

 国営諫早湾土地改良事業に伴って、潮受堤防内には約二千六百ヘクタールの調整池が設置された。これまで農林水産省は調整池の水質浄化策を講じてきているが、実際には思うような効果を上げていない。しかし、同省は一定の目標値も設定し、調整池の水を農業用水に利用するとしているので、この調整池の管理、水質浄化及び潮受堤防の管理は今後の重要な課題となっている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 農林水産省は、諫早湾干拓調整池の水質について、水質保全のための目標値として一リットル当たりCOD五ミリグラム、同T-N一ミリグラム、同T-P〇・一ミリグラムと定めている。しかし、平成九年度以降、いずれの年もこの目標値を達成していない。農林水産省は、目標値というものはあくまで同省が独自に設定したものであって、絶対的な基準ではないし、現状のCOD値でも農業用水として利用することに問題はないと考えているとの説明をしている。そうすると、目標値を達成しなくても一切何らの問題も発生しないと考えているのか、あるいは多少何らかの問題があると考えているのか明らかにされたい。

二 そもそも水質目標値をクリアしなくても農業用水として問題ないというのであれば、いったい何のために目標値を設定したのか、目標値の数値は何を根拠に設定したものか、それぞれ明らかにされたい。

三 これまで各地で施行された国営土地改良事業(干拓事業)の中にも、調整池が設置され、その水質について目標値が設定されてきたものがあると思われる。過去二十年間に完了した土地改良事業(干拓事業)の中で、調整池が設置された事業名、完了年月、水質保全のために設定された目標値、その目標値が達成されたのか否か、達成された場合には達成された年月を、それぞれ明らかにされたい。

四 農林水産省は、国営諫早湾土地改良事業費二千五百三十三億円のうち潮受堤防だけで千五百二十七億円かかり、この分はすべて防災目的であるから農地にかかる受益者負担からは外れるとしている。しかし、調整池は淡水化してこれを農業用水に利用するというのであるから、潮受堤防は防災だけではなく、外海の海水と調整池の淡水とを区別する重要な役割を果たしていることになる。潮受堤防の目的がすべて防災であるというのであれば、調整池は何も淡水化しなくても良いはずであるし、また、農業用水に利用しないはずである。農業用水にまで利用するというのであれば、これを利用する干拓農地を所有する受益者に一定割合を負担させるのが適切であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。加えて、潮受堤防の目的が防災だけであるとすれば、調整池に海水を注入することに、潮受堤防の目的上からは問題がないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 潮受堤防の役割が防災であるというのであれば、それはどの範囲の土地についての防災というのか、防災の対象となる土地の範囲を地図上で明確に示されたい。

  右質問する。