質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇九号

小児精神科医療の拡充に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年一月十一日

小  池   晃   


       参議院議長 江 田 五 月 殿



   小児精神科医療の拡充に関する質問主意書

 近年、心に問題を抱え、家庭や学校、幼児教育の場で対応困難な子どもたちが増えている。少子化、出生率の低下に相反して、発達の偏り・遅れ、不登校・引きこもり、行動・食行動の問題、虐待被害など小児をめぐる問題は増加・深化しており、小児医療の危機が深刻な社会問題になっている。
 一方で、子ども専用の入院施設を持つ病院は、全国に約千床しかなく、厚生労働省研究班によっても発達障害などで何らかの対応が必要とされる児童数が小中学校だけで数十万人に上る可能性が指摘されていることを考えれば、余りにも少ないと言わざるを得ない。
 専門医・医療機関の不足によって、診察を受けるまでに一箇月から五箇月、場合によっては何年も待ち時間を要する例がある。適切な診療を受けることが困難となり、症状が悪化した例もあると聞いている。
 そこで、以下質問する。

一 小児専門の精神入院施設は全国でどの程度あるか明らかにされたい。また、小児精神科専門病院の東京都立梅ヶ丘病院が、小児精神科の医師養成や小児精神科医療の中で果たしてきた役割を国はどのように評価しているか、政府の見解を明らかにされたい。

二 小児精神科での対応が必要な患者数や、必要となる医師数・施設数を政府はどう認識しているか。また、現在の医師数・施設数で十分と考えているか、政府の見解を明らかにされたい。

三 厚生労働省は来年度から子どもの心の拠点病院の整備を進める方針を持っているが、ストレスの増加など子どもの心をめぐる状況にかんがみれば小児精神科を専門とする医師要請の強化や施設・病床数の増加が必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 東京都は東京地域の子どもの心の拠点病院に都立梅ヶ丘病院をあてる方向で調整中と聞いている。ところが都立梅ヶ丘病院は都立三小児病院の統合の方針の下、二〇一〇年に府中に移転することが決まっている。小児精神科の病床数も現在の二百四十二床から二百二十床に減らされる計画である。移転によって、現在地で築き上げた社会復帰のための就労訓練など地域との協力関係も失われる。また、梅ヶ丘病院に通院するために世田谷に住居を移された方からは、病状のことを考えると府中に通院できないと悲痛な声も上がっている。
 今後さらに医師数・施設数を増やすべき時に、現在の都立梅ヶ丘病院の移転計画は、病床数を減らすなど病院機能の縮小につながりかねず、見直すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。